【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は15日、道路や橋の更新に1兆ドル(約114兆円)規模を投じるインフラ投資法案に署名し、同法が成立した。バイデン氏は演説で、「米国インフラ投資が、この20年で初めて中国による投資の伸びを上回るだろう」と述べ、巨額投資が米国の社会・産業基盤の強化につながる意義を強調した。
これに先立ちバイデン氏は同日、同法に基づくインフラ工事の実施要領に関する大統領令に署名した。工事の資材調達で、米国製を優先する「メード・イン・アメリカ」条項を重視するよう求めるなど、自国産業の振興につなげるよう関係機関に指示している。
バイデン氏はホワイトハウスでの署名式で、「この日を長く待ち望んできた」と語った。トランプ前政権など歴代政権が失敗した大型インフラ投資を、「超党派」の賛同を得て実現したことを称賛。署名式には招待した与野党の連邦議員や州知事も参加した。
同法には、道路や橋の新設や更新のほか、気候変動対策の一環と位置づける電気自動車(EV)の充電設備の拡充や、ブロードバンド(高速大容量)通信網の整備に充てる支出も盛り込まれた。
インフラ投資法案は6月に上院の超党派議員が大枠合意。8月に上院通過し、今月上旬に下院で可決していた。
バイデン政権と与党・民主党は、インフラ投資法と並んで、子育て支援や福祉拡充を柱とする総額1兆7500億ドル規模の巨額歳出法案の成立を急いでいる。
バイデン氏の支持率は低迷しており、月内にも大型歳出法案を実現させて政権浮揚につなげたい狙いだ。ただ、民主党穏健派が歳出膨張に強く反発するなど、党内調整が難航しており、指導力が問われる局面が続いている。