生徒1人、新たな学び場模索 都内唯一の中学通信教育

通信教育課程での授業風景=昨年7月(神田一橋中学校提供)
通信教育課程での授業風景=昨年7月(神田一橋中学校提供)

神保町駅に近い神田一橋中学校(東京都千代田区)は、全国でも数少ない、通信教育課程を有する公立中だ。70年以上の歴史を持つが、同課程の生徒は減少し、現在は90代の女性1人だけとなっている。同校は入学希望者の出願要件を引き下げるなどして受け入れ対象者を広げるほか、新たな学びの場としていくことも模索している。

文部科学省によると、中学の通信教育は学校教育法の附則に基づく制度で、本来は戦前まで6年間だった義務教育が現在の9年間に移行する際、終戦後の混乱などで中学に通えなかった人たちが対象だった。現在は大阪市内の学校と合わせ2校が存在している。

授業は年間20回

神田一橋中の通信教育の始まりは昭和23年。生徒は土曜日や日曜日に登校し、年間で計20回の授業を受ける。国語、数学、英語のほか、音楽や美術、簡単な体育など9科目を学習し、与えられた課題を次回の登校の際に提出するカリキュラムだ。区教育委員会によると、昨年度までに約700人が同課程を卒業・修了している。

現在は90代の女性が1人だけで、女性が卒業すると休校や廃止の可能性もあった。そのため区教委や同校は存続に向けた協議などを行い、市民団体でも署名活動などの動きがあった。

同校の出願資格は「昭和21年3月31日以前の尋常小学校卒業者及び国民学校初等科修了者」。この要件を満たす人は現在では限られるため、出願資格に「本科生」のほかに、年齢要件を65歳以上とした「別科生」を加え、間口を広げた。