全編アラビア語、異色米映画「モスル」

「モスル~あるSWAT部隊の戦い~」の撮影現場で指示するマシュー・マイケル・カーナハン監督(右)(C)2020 Picnic Global LLC. All Rights Reserved.
「モスル~あるSWAT部隊の戦い~」の撮影現場で指示するマシュー・マイケル・カーナハン監督(右)(C)2020 Picnic Global LLC. All Rights Reserved.

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の拠点だったイラク北部モスルを舞台に、地元の元警察官で編成された特殊部隊(SWAT)がISと戦う姿を描いた戦争アクション映画「モスル~あるSWAT部隊の戦い~」。米映画だが、出演者はすべて中東などにルーツを持つ俳優たちで、全編アラビア語という異色の作品だ。

本作のプロデューサーは、米マーベル映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」などの監督として知られるアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟、撮影監督は映画「アバター」で米アカデミー賞撮影賞を受賞したマウロ・フィオーレ。ハリウッドの超一流スタッフが名を連ねる。

これまでのハリウッド大作とは一線を画し、劇中で使われる言語はアラビア語で、米国人俳優も起用されていない。また、中東を題材にした米映画の場合、ほとんどが米国側の視点で描かれ、ヒーローは米兵で、イスラム教徒はテロリストなどの敵役か名もない移民として登場することが多いが、本作ではISに奪われた家族を奪還するために戦うイラクの男たちが英雄として描かれている。

本作は、実在のSWATがモデルになった。ルッソ兄弟が米誌の記事に感動し、自ら設立した製作会社で映画化に乗り出した。

兄弟から脚本を依頼され、監督も務めたマシュー・マイケル・カーナハンは「同じ人間として、家族や愛するものを守るという普遍的なテーマにひかれた」と話し、こう続けた。「一方的な視点で描かれる単なる戦争映画にはしたくなかった。自身の言語で自分たちの物語を紡いでほしいと思った。命を犠牲にして仲間の家族を取り戻そうと戦った彼らの存在を多くの人に知ってもらいたい」

映画は19日から東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマなどで全国公開される。(水沼啓子)