北川信行の蹴球ノート

「対面」取材で大久保が見せた「主夫の顔」

今月発売される大久保嘉人の書籍「俺は主夫。 職業、現役 J リーガー」(講談社提供)
今月発売される大久保嘉人の書籍「俺は主夫。 職業、現役 J リーガー」(講談社提供)

新型コロナウイルス感染の落ち着きとともに、試合時のスタジアムに入場できる観客数の上限緩和などが進む中、チームの練習取材もコロナ禍前の日常を取り戻しつつある。

13、14日にサポーターや報道陣に公開されたサッカーJ1、セレッソ大阪の練習。会場の舞洲グラウンド(大阪市此花区)では、セレッソ大阪がホームページやSNSを通じて募集したサポーターら100組200人(1日当たり)が、はつらつと汗を流す選手のトレーニングを見学した。

練習が終わると、選手やスタッフは近くのクラブハウスへ徒歩で移動。途中に取材ゾーンが設けられ、報道陣は感染予防策として、十分に距離を空けた状態で、選手や監督から話を聞くことができた。

今年日本代表デビューも果たしたMF坂元達裕は「たくさんのお客さんが見ていると、自分たちの気持ちが上がるというのもある」。DF瀬古歩夢も「(練習公開は)楽しい。お客さんが入ることで、改めて応援されているんだなと、感じることができる」と公開を歓迎した。

久々の対面での取材に、ベテランのFW大久保嘉人は小学4年生の三男との〝2人暮らし〟についても言及。昨オフに15年ぶりのセレッソ大阪への復帰が決まり、妻や4人の子供と離れて単身赴任するつもりだった大久保だが、父親に付いていく決意を示した三男と2人で共同生活を送ることに。この1年間、プロサッカー選手として練習に励みながら、料理や洗濯などの家事をこなし、子育てに奮闘してきた。

「この1年は今まで以上に早かった。いろんなことをしてきたからね。これまでは家にあるものを食べればよかったけど、子供がいるとそういうわけにもいかない。学校からの連絡にもちゃんと目を通さないといけないし」と大久保。今月26日には父子生活の様子を描いた書籍『俺は主夫。職業、現役Jリーガー/大久保嘉人』(講談社)も発売される。主夫を始めたときと比べて料理のレパートリーも増え、現在のおススメは、魚(タチウオ)の煮つけ。「YouTube」を見るなどして、腕を磨いているという。

このほか、動画配信サービス、DAZN(ダゾーン)で中継されたワールドカップ(W杯)アジア最終予選、日本-ベトナムの解説を担当した、元同僚の中村憲剛氏と、日本代表や五輪代表で一緒にプレーした松井大輔氏についてもコメントするなど、報道陣とのやり取りを楽しんだ様子だった。

現在、Jリーグの各チームでは試合の前日や前々日にオンラインで共同記者会見を行うのが一般的だ。コロナ禍が続く中でも、そうした取材対応の場を設けていただいていること自体、ありがたい話である。しかし、オンラインでは聞きにくい話題もある。

大久保が披露してくれた息子とのプライベートな話のような、〝脱線気味〟の取材ができるのも、対面ならでは。今の感染状況であれば、社会的距離をきっちりととる、マスク着用や検温を義務付ける-などの予防策を講じれば、リアルな取材は可能ではないか。

それは、Jリーグでは原則オンラインでのインタビューとなっている試合後の取材も同様。社会全体が「ゼロコロナ」から「コロナ共存」へとかじを切る中、現場のスポーツ取材も「ワクチン・検査パッケージ」を活用するなどして、通り一辺倒になりがちな「オンライン」から、聞き手と話し手の阿吽(あうん)の呼吸で話が膨らみやすい「対面」への移行を考えてもいい時期がきているのではないかと思う。