主張

GDP年率3%減 消費支えて回復を確かに

7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率換算で3・0%減と、2四半期ぶりのマイナス成長になった。

事前の民間予想を大きく上回る下げ幅だ。新型コロナウイルス感染の第5波や緊急事態宣言で消費が低迷したことが大きい。半導体不足に伴う自動車減産などで輸出が低調だったのも響いた。

10月以降は緊急事態宣言も解除され、我慢が強いられた反動で消費は回復傾向にある。このため10~12月期はプラス成長に戻る可能性もあるが、第6波への警戒も怠れず、どこまで景気が勢いを取り戻せるかは予断を許さない。

岸田文雄政権は近く策定する経済対策で、感染抑止と経済再生の両立に向けて適切な財政措置を講じなくてはならない。その際にはコロナ禍でも収益が改善している企業に賃上げを促すなど、回復途上の個人消費をいかに確かなものにできるかが問われよう。

7~9月期の個人消費は1・1%減だった。企業の設備投資も3・8%減と低迷した。本来なら経済を後押ししたはずの東京五輪・パラリンピックも基本的に無観客での開催となり、景気悪化を食い止める要因とはならなかった。

足元の経済にも不安な要素がある。原油高騰や円安などの影響で企業の輸入コストが増えているのに価格転嫁が進まず、収益圧迫の懸念が強まっているためだ。

そうした中でいかに経済を再生させるかである。内閣府の10月の景気ウオッチャー調査では、コロナ感染が落ち着きを見せたことで小売りや飲食、観光などの客足回復に期待が高まり、街角の景気実感を示す現状判断指数が7年9カ月ぶりの高水準になった。これを確かな流れにする必要がある。

幸いにも東証1部上場企業の多くが、海外経済の回復などを受けて9月中間連結決算でコロナ禍前の最終利益を上回っている。先行きへの不安に萎縮するばかりではなく、ポストコロナを見据えた事業の再構築や、労働生産性を高める設備投資など、収益改善を生かす方途を探ってもらいたい。

政府に求めるのは、そうした企業活動を後押しするための環境整備だ。ここには賃金水準を引き上げるための後押しも含まれる。賃上げを通じて消費を活性化し、企業の新たな成長へとつなげる。これは岸田首相が目指す経済政策の道筋でもあるはずだ。