千夜一夜

ワクチン推進の裏で

筆者が駐在するエジプトでは、政府が今月15日から、出勤する公務員に新型コロナウイルスのワクチンを接種するか、2週間ごとにPCR検査を受けるよう義務付けた。12月1日からは未接種の一般人が役所に立ち入るのも禁止される。

首都カイロでも大規模施設を接種会場に変更したり、海外旅行の予定者向けの接種会場を設けたりと、政府はワクチンの普及に躍起になっている。

今月にはワクチンパスポートも導入され、英アストラゼネカ製を2回接種した筆者も入手した。携帯電話のアプリを開くとワクチンの種別や接種日などが表示されるのだが、未接種者の食堂などの利用が制限されているわけでもなく、メリットはよく分からない。

政府がワクチン接種に本腰を入れたことで、難しくなってきたのが支局の職員への対応だ。持病があって接種を避けてきた者もおり、無理強いはできない。「医師に相談して慎重に判断して」というぐらいだ。

ワクチンへの警戒心が強いためか、英統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、エジプトで2回接種した人は人口の1割程度にとどまる。12月に入ったら、役所の前で「中に入れろ」という人が増え、警備員との押し問答が激しくなるのでは、と心配してしまう。(佐藤貴生)