がん電話相談から

進行前立腺がん、ホルモン治療しかない?

Q 70代の夫についての相談です。頻尿のため今年6月、糖尿病治療で通院する泌尿器科で血中PSA(前立腺特異抗原)値を測定すると、800ありました。翌月、前立腺の針生検、MRI(磁気共鳴画像装置)、骨シンチグラフィー検査を受け、骨盤転移のある前立腺がんと診断されました。

骨盤転移は骨シンチで4カ所、CT(コンピューター断層撮影)で肺に小さなぽつぽつがいくつかありました。8月に生検の結果、6本中4本にがんを認め、がんの悪性度を示すグリーソンスコアは4+4=8(高悪性度)でした。

A 骨盤転移は骨盤骨転移のことですね。肺にも転移があると思われます。

Q 早速、ホルモン治療としてゴナックス注射を受け、9月のPSA値は27・5でした。主治医からは骨転移に放射線治療は効果がないと言われましたが、そうなのでしょうか。また、痛みにはその都度対処すると言われましたが、事前に何かできますか。

A ホルモン治療は比較的早く肺転移に効果がみられるでしょう。骨転移は治りづらく、原発巣の前立腺がんもホルモン治療では完治しないことが多いです。肺がきれいになり骨転移への効果も見られれば、原発巣に放射線治療を追加する選択肢も出てきます。

また痛みの件は、骨転移で痛みが出たら放射線治療で制御ができるという意味で言われたのでしょう。骨転移は痛みがない状況ではじめから放射線治療を行うことはなく、まずはホルモン治療を先行します。

Q ホルモン治療の注射に加え、泌尿器科ではザイティガの内服を勧められました。しかし糖尿病の主治医に「ザイティガはプレドニンを併用する必要があり、プレドニンは血糖値に悪影響を及ぼすため別の薬に」と言われ、泌尿器科で再度相談したらアーリーダを提案されました。

A ザイティガを使うと、副腎で鉱質コルチコイドというホルモンの生成が増加し、危険な高血圧や低カリウム血症を招きやすくなるので、これを抑えるために合成副腎皮質ホルモン剤であるプレドニンを併用する必要があります。

しかし、プレドニンは糖尿病にはマイナスに作用するため、アーリーダへの変更は良いことです。ただ、ホルモン治療そのものがインスリン抵抗性を高め、糖尿病の悪化を来すリスクがあるため、長期にわたる糖尿病管理が必要です。

ところで、ご主人は運動や食事など、生活面での工夫はされていますか。

Q 毎日、散歩で5千歩以上歩きますが、時々つまずくので転倒が心配です。食事のカロリー調整で体重も減量中です。卵は食べても大丈夫でしょうか。

A 脳梗塞、狭心症の既往があるため、卵は1日1個以内にしましょう。飽和脂肪酸の多い肉類よりも魚、特にオメガ3脂肪酸の多い青魚がお勧めです。散歩も続けましょう。ただ、ホルモン治療中は男性ホルモンが低下し筋肉や骨が弱くなります。転倒に注意が必要です。

また、骨転移の進行を抑えるのに、ランマークという注射薬と、ビタミンD・カルシウム製剤内服との併用もお勧めです。主治医に相談してみてください。

回答は、がん研有明病院顧問(泌尿器科)の福井巌医師が担当しました。

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