ロシア、進むワクチン強制化 ロックダウン効果なし

10月26日、ロシアの首都モスクワで新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける男性(ロイター)
10月26日、ロシアの首都モスクワで新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける男性(ロイター)

【モスクワ=小野田雄一】過去最悪の新型コロナウイルスの流行が続くロシアで、任意とされるワクチン接種を実質的に強制化する動きが加速している。露政府は12日、ワクチン接種を証明するQRコードを発行し、取得しない国民には飲食店や一部の商店・公共交通機関の利用を制限する法案を下院に提出した。背景には、低いワクチン接種率やプーチン大統領の肝煎りで実施した短期のロックダウン(都市封鎖)の効果が乏しかったことがある。

露政府が提出した法案は、一部の自治体が既に導入しているQRコードの運用を全国規模に拡大するもの。自治体レベルではこのほかにも、医療やサービス業など特定業種の従事者や、60歳以上の住民にワクチン接種を義務付ける措置の導入も進められている。

ワクチン接種を拒めば解雇などの恐れが生じる上、QRコードなしでは生活に支障が出るため、国民からは「事実上の強制化だ」と反発も出ているが、露政府は聞き入れない構えだ。

ロシアは今年1月、世界に先駆けて承認した自国産ワクチン「スプートニクV」の一般接種を開始。だが、大規模治験を省略して承認されたスプートニクVの安全性への懸念が国民内に根強く、今月12日時点で1回でも接種を受けた国民の割合は41%にとどまる。

さらにプーチン氏の決定により10月30日~11月7日にかけて全国で実施した9日間の「非労働日」も状況を改善しなかった。9連休中および終了後も、それ以前と同水準となる1日当たり4万人規模の新規感染者、同1200人規模の死者数を連日記録している。

露政府は「成人人口の80%の免疫獲得」との目標を掲げるが、達成にはなお2200万人の接種が必要。「接種の強制化」は露政府の焦りの反映だといえる。