脱石炭火力議論で置き去りになった原発活用 COP26

13日閉幕した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、非効率石炭火力発電の低減が会議の成果文書に盛り込まれた。表現が「廃止」から「削減」に弱まったものの、今後も石炭火力の活用を続ける日本には、脱炭素化へ向けた国内対策の弱さへ内外から批判が続く可能性が残る結果となった。一方、脱炭素化に貢献すると国際認識が高まる原子力発電については、日本は再稼働を掲げるものの将来像は描けておらず議論が置き去りになっている。

文書では「排出削減対策のない石炭火力のフェーズダウン(段階的な低減)に向けた努力を加速する」との表現が入った。政府関係者は閉幕後「これまでのCOPで世界全体の枠組みとして(石炭が)入るのは初めて」とそのインパクトを指摘。改めて2030年度の削減目標(13年度比46%)達成に向け、非効率石炭火力の削減を着実に進めていく姿勢を強調した。

脱炭素の議論が盛り上がる中、世界では原発の意義が高まっている。電力輸出国のフランスはCOP26期間中、脱炭素化を進展させるため原発建設の再開を発表。それに先立ち、10月には欧州連合(EU)加盟の9カ国とともに原子力に関する共同宣言をまとめ、無炭素電源としての原子力活用の重要性を訴えた。

一方、日本は10月決定のエネルギー基本計画で、排出削減に貢献するとして原発再稼働は盛り込んだが、建て替えや新設に向けた議論は棚上げした。

環境・エネルギー政策に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹は、フランスなど欧州での動きを例に「今COPで原子力に関する共同宣言はなかったが、(自主削減目標を設定するための)エネルギーの脱炭素化に言及する中で、原子力推進の機運はますます高まっている」と指摘。日本はエネルギー政策で将来における原子力の活用を改めて考えるべきだとしている。(日野稚子)