半導体不足が製造業の重し 消費回復期待も…

緊急事態宣言の解除後初の日曜となった10月3日、京都・清水寺の参道は観光客でにぎわった。今後の消費押し上げが期待される(永田直也撮影)
緊急事態宣言の解除後初の日曜となった10月3日、京都・清水寺の参道は観光客でにぎわった。今後の消費押し上げが期待される(永田直也撮影)

令和3年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、2四半期ぶりにマイナス成長となった。今後については、新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除で人流が戻り、飲食や宿泊などが反転することへ期待がかかる。一方、製造業は半導体不足や資源高などを理由に、先行きへ警戒感が広がってきた。業績悪化で所得回復が遅れれば、個人消費にも影響しかねない。

個人消費は夏場にコロナ「第5波」に見舞われ、飲食や観光などのサービス関連が伸び悩んだ。緊急事態宣言が夏休みを含む長期にわたり、7~9月期は大きく需要を落とした形だ。

ただ、宣言が明けたことで、反動で消費が増える〝リベンジ消費〟をはじめ、需要回復に期待する声が宿泊、外食業界から出ている。「10月以降、客室稼働率は確実に伸びている」と話すのは、ロイヤルホテルの坊傳(ぼうでん)康真(やすちか)財務部長。旗艦店、リーガロイヤルホテル(大阪市)は4~9月の平均客室稼働率は28・7%だったが、10月は土曜で7割、平日も3~4割まで戻したという。

王将フードサービスは店内飲食の回復に加えてテークアウトなども堅調で、10月は直営全店および直営既存店の売上高が過去最高に。渡邊直人社長は「次の波(第6波)が押し寄せない限り、緩やかに回復していくのではないか」と前向きに見通しを分析する。エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングも「感染予防を徹底するコロナとの付き合い方が続けば、足元は順調に回復していく」(荒木直也社長)とみる。

一方、3年9月中間連結決算で過去最高益が相次いだ製造業には不安材料が出てきた。京セラの谷本秀夫社長は「半導体不足による自動車減産の影響が思ったよりも長引いている。車載向けの事業などの来期は不安だ」と述べた。

4年3月期の業績予想を上方修正したパナソニックの梅田博和最高財務責任者(CFO)は「半導体不足等の影響は徐々に回復すると思う」としつつ、年間500億円程度とみていた原材料高騰による影響は「1千億円を超えてくるだろう」と述べ、危機感をにじませた。

不安の声は大手に限らず、中小企業にも広がっている。11月に原材料価格高騰の相談窓口を開設した大阪シティ信用金庫にも、中小から部品調達の不安の声が寄せられているという。

りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「資源相場の上昇分を価格転嫁できなければ、企業業績を圧迫しかねない」と指摘。業績悪化の分だけ従業員の所得回復が遅れる恐れがあり、「感染症が収束しても所得環境が個人消費に響きかねない。中長期的な需要回復には、政府の需要喚起策がカギとなる」とした。