強まる歳出圧力 経済対策で景気浮上か、第6波で停滞か GDPマイナス成長

7~9月期の実質国内総生産(GDP)は新型コロナウイルスの緊急事態宣言と自動車の供給制約という二重苦に見舞われ、市場予想を大幅に上回るマイナス成長になった。近くまとめる追加経済対策や令和3年度第1次補正予算案で、当面の景気下支えに向けた歳出圧力が高まる。成長率は10~12月期にプラス転化が見込まれるが、感染「第6波」で医療体制が逼迫(ひっぱく)すれば景気回復は一層遠のく。

7~9月期は個人消費、設備投資、輸出など主要項目が軒並み前期比マイナスに落ち込んだ。感染力が強いデルタ株の拡大で消費者の自粛ムードが再び強まったほか、半導体不足や東南アジアのコロナ拡大に伴う部品供給難で自動車生産が停滞し、「いわば総崩れの様相」(野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト)となった。

日本経済の潜在的な供給力と需要の差を示す需給ギャップ(GDPギャップ)は4~6月期時点で約22兆円あったが、今回のマイナス成長で需要不足がさらに拡大する見通し。景気反転に向けた追加経済対策の財政支出は当初30兆円台が見込まれたが、40兆円超に拡大する見通しで、与党から歳出圧力が強まっている。

ただ、9月末の宣言解除と感染状況の落ち着きを踏まえ、日本経済研究センターによる主要民間エコノミスト37人の経済見通しは10~12月期の実質GDPを年率4・93%増とみている。

牽引(けんいん)するのがコロナ禍で抑圧された消費意欲が噴き出す〝リベンジ消費〟だ。データ分析会社ナウキャストとJCBがクレジットカードの利用情報から分析した10月後半の消費水準は、消費税増税やコロナ禍の影響がなかった平成28~30年平均比で10・1%増と1年ぶりの高い伸びを記録し、個人消費が回復している。

7~9月期は主要先進国が軒並みプラス成長率を記録する中、日本だけ独り負けの状況だ。ただ、景気回復で先行した欧州では感染者数がぶり返し、オランダやオーストリアで飲食店の営業に規制がかかるなど個人消費にも影響が出始めた。

追加経済対策では足元の感染減を前提に観光支援策「Go To トラベル」を再開する方向だが、第6波が襲来すれば延期を迫られかねない。多額の給付金を積んでも、再び行動規制を強化すれば景気は腰折れする。岸田文雄政権が宣言通り「医療難民ゼロ」など実効性のある医療体制の強化策を断行できるかが反転攻勢のカギを握りそうだ。

(永田岳彦)

7~9月期GDPは年率3・0%減 2四半期ぶりマイナス成長