昭和天皇への御進講時に着用、南方熊楠のコート修理へ

修理のために南方熊楠のフロックコートを包む元興寺文化財研究所の関係者=和歌山県白浜町の南方熊楠記念館
修理のために南方熊楠のフロックコートを包む元興寺文化財研究所の関係者=和歌山県白浜町の南方熊楠記念館

和歌山県出身の世界的な博物学者、南方熊楠(みなかた・くまぐす)=1867~1941年=を顕彰する「南方熊楠記念館」(同県白浜町)が令和7年度の開館60周年記念事業のためにインターネットで募った寄付の受け付けが終了し、当初目標とした500万円の3倍超の約1830万円が集まった。展示品の修理などに充てられ、まず熊楠が着用していたフロックコートが修理のために文化財の保存処理などを行う元興寺文化財研究所(奈良市)に運び出された。

 南方熊楠(南方熊楠記念館提供)
南方熊楠(南方熊楠記念館提供)

フロックコートは、昭和4年に熊楠が田辺湾の生物について昭和天皇に御進講を行った際に着用。常設展示していたが、時間の経過とともに傷んでおり、約120万円の予算で修理することにしたという。

記念館から今月4日に搬出されたフロックコートの実物を見た元興寺文化財研究所文化財調査修復研究グループリーダーの金山正子さんは「肩の部分や裏地が擦り切れている」と指摘。「文化財の修理はやりすぎないのが原則。傷みが進まないように補強していく」と話した。

寄付はインターネットで資金調達するクラウドファンディング(CF)で9月1日から10月29日まで受け付け、9月13日に第1目標額の500万円を突破。9月24日には第2目標額の1千万円を超え、第3目標額を2千万円としていた。

寄付金はこのほか、手紙の複製作製や標本整理、図録作製にも充てる。

高垣誠館長は「このお金を使って60周年にふさわしい展示をしたい」と意気込んでいる。