第2次政権をスタートさせた岸田文雄首相の視線は今、どこを捉えているのか。おそらくそれは来夏の参院選後ではなかろうか。参院選を制することができれば、国政選挙に振り回されることなく、自身が掲げる政策の実現に集中できる「黄金の3年」が待っているからだ。次期参院選は長期政権を敷けるかどうかをかけた大勝負となる。
首相は初陣となった先の衆院選で議席を減らしたとはいえ、自民党単独で絶対安定多数(261議席)を確保し、しばらくは安定的な政権運営を可能とした。新型コロナウイルス禍であり、紆余(うよ)曲折はあろうが、参院選もうまく乗り切れば、その先は自身の意思で衆院を解散しない限り、次の国政選挙が行われるまで最長3年間の時間を確保できる。これが「黄金の3年」だ。
先の衆院選で選ばれた衆院議員の任期満了は4年後の令和7年10月。元年夏の参院選で当選した議員らが改選を迎える次々回参院選も同じ7年の夏ごろに実施される。首相は自ら衆院の解散権を握る。じっくり3年間、長期的な課題に取り組むのか、それとも任期途中で解散し朝野に信を問うか。それは首相の選択次第だ。