めぐみさん拉致現場で若年層の啓発強化 松野長官

横田めぐみさんが拉致された現場周辺を視察する松野博一官房長官(手前左から2人目)=14日午後、新潟市
横田めぐみさんが拉致された現場周辺を視察する松野博一官房長官(手前左から2人目)=14日午後、新潟市

横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=が昭和52年11月15日、新潟市で北朝鮮に拉致されて44年となるのを前にした14日、問題解決を誓う集会が同市で行われ、拉致問題担当相の松野博一官房長官が出席した。拉致現場を訪れた松野氏は「強い憤りを感じた」と述べ、若年層への啓発活動を強化する考えを強調した。

平成14年に被害者5人が帰国してから19年、日朝の交渉は膠着(こうちゃく)し、残る被害者家族らは問題の風化に危機感を募らせている。岸田文雄首相は就任直後から金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談を実現し問題の全面解決を目指すと表明。松野氏も15日の記者会見で「すべての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意志を示していくことも重要だ」と強調した。

政府の拉致対策本部はここ数年、各地での集会や家族らの講演、中高生を対象にした作文コンクールなどを通し啓発を進めている。平成30年には拉致問題担当相と文部科学相の連名で、啓発アニメ「めぐみ」を学校教育で活用するよう教育委員会などに要請。教職員向けの研修や、教職課程を履修する大学生を対象にした拉致現場の視察なども行っている。

ただ、「めぐみ」をめぐっては、令和元年の産経新聞の調査で、都道府県や政令市の約半数が各地域内の公立小中高校での上映状況を把握していないなど十分に浸透していない実態が浮かんだ。問題解決に取り組む自民ベテランは「被害者の帰国など、象徴的な出来事を目の当たりにしていない世代が増えた。国家主権の重大事としてしっかりと継承すべきだ」と訴える。

教育現場での温度差も課題だ。学校関係者は「『子供が怖い思いをする』という誤解から二の足を踏む雰囲気がある。学校や教職員によって取り上げ方に大きな差がある」と明かす。

政府の拉致対策本部が情報発信のため立ち上げたユーチューブ公式チャンネルの登録者は1万人あまりにとどまる。問題解決に向けた機運醸成へ松野氏ら政府の本気度が問われている。(中村昌史)