書評

『ノーベル文学賞が消えた日 スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い』マティルダ・ヴォス・グスタヴソン著、羽根由訳

『ノーベル文学賞が消えた日 スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い』マティルダ・ヴォス・グスタヴソン著、羽根由訳(平凡社・2530円)
『ノーベル文学賞が消えた日 スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い』マティルダ・ヴォス・グスタヴソン著、羽根由訳(平凡社・2530円)

2018年、ノーベル文学賞の発表が中止されるという異例の事態が起きた。きっかけは選考主体のスウェーデン・アカデミーに近い文化人による、複数の女性への性的暴行疑惑。このスクープ記事を書いた現地紙の女性記者が、取材の裏側とその後をつづった。渾身(こんしん)のルポルタージュだ。

尊厳を傷つけられた被害女性の声を聴き続け、弱者が泣き寝入りを強いられるいびつな権力構造をあぶり出す。報道はアカデミーの内紛に発展し、伝統の組織は改革を迫られる。勇気を出して沈黙を破った女性の「世の中には守るべき価値がある」という言葉は切実で重い。(平凡社・2530円)