正論12月号

中共に忠実な「財新」が独立系メディアですか 本誌(月刊正論)編集部

中国の国連代表権獲得から50年を記念する会議で演説する習近平国家主席=北京(新華社=共同)
中国の国連代表権獲得から50年を記念する会議で演説する習近平国家主席=北京(新華社=共同)

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中国のニュースメディア「財新」というと、中国湖北省武漢市から世界各地に広がった原因不明の肺炎症状について、二〇一九年末にSNSで拡散し警鐘を鳴らした医師の李文亮氏にいち早く取材したとして、世界の注目を集めた存在だ。「調査報道に優れた独立系メディア」と評価され、米ウォールストリート・ジャーナル紙などでも度々引用されるほか、日本でも東洋経済新報社の「東洋経済オンライン」が翻訳を掲載している。

月刊「正論」編集部は財新の「独立性」に重大な疑義を投げかける文書を入手した。中国語で書かれた文書のタイトルは「二つの刊行物及び財新ネットに関する工作報告(两刊及財新網工作匯報)」(以下、報告書)。

「二つの刊行物」とは、中国の「財新メディアグループ」傘下にある週刊誌「財新周刊」と月刊誌「中国改革」。「財新ネット」は「財新」のネット版だ。報告書は「財新」編集部が、報道機関を指導、監督する中国共産党宣伝部と全国政治協商会議の指導に忠実に従い、活動していることを明確にした。

報告書は財新の名前が印刷されたペーパー六枚からなる。最後のページには「二〇二一年七月八日」の日付と、社長の胡舒立、編集長の王爍両氏の手書きの署名がある。

提出先の明記はないが、報告書冒頭に「(編集部が)中国宣伝部の部署、人民政治協商会議の指導下で積極的に各項目の工作を展開」、文末には「政治協商会議の指導者がさらに大きな支持を与えることに期待する」とある。

政治協商会議は、国内外の統一戦線工作を行う機関で、現在の主席は中国共産党序列四位の汪洋・中央政治局常務委員が務める。

報告書で注目されるのは、「最近の業務」と「今後の工作についての考え」の二点だ。

「最近の業務」として、「財新」編集部が「巡視組の意見に基づいて深部からの改革を行い、一定の成績をあげる一方で困難な課題にも直面している」とある。

「巡視組」は、中国共産党から汚職や不正行為などの調査を行うために各省・地方の行政機関、企業などに派遣される査察組織。最近は汚職・腐敗の調査だけでなく、「習近平思想」と呼ばれる「新時代の中国の特色ある社会主義思想」が徹底されているかの調査、評価を強化しているという。

■意識形態工作

報告書では、財新が行った改革についてこう明記している。

「我々は正しい世論の方向性を堅持し、政治的な基準を把握し、意識形態責任制を厳格に実行した」

「編集部管理層は、習近平総書記による党の思想宣伝工作、報道と世論に関する方針の原則、報道と世論工作の能力と水準、報道と世論工作関係者の建設強化等の一連の重要な思想工作について理解するために真摯に学習してきた。(略)《(管理職レベルは)中央第七巡視組による全国政治協商会議党機関巡視の評価及び意見》がその中で指摘した二つの刊行物に対する問題について意識を高め改革を行った」

留意すべきは「中央第七巡視組」のくだりだ。第七巡視組は「政治協商会議の党組織」を対象に派遣された。そして、その財新は思想工作の一環である「意識形態工作」を厳格に遂行したとしている。意識形態工作の責任体制の構築は、習近平総書記が五月末の政治局集団学習会で各中国共産党組織に指示したと伝えられている。

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「正論」12月号 主な内容

【特集 政治家・国民に問う】

モリソン豪首相の決意見習え 杏林大学名誉教授 田久保忠衛

誰が日本を滅ぼすのか グループ2021 安保環境の厳しさを語れ 東京外国語大学教授 篠田英朗×ハドソン研究所研究員 村野将

〝やってる感〟出したいアメリカの思惑 軍事社会学者 北村淳

TPPに乱入する中国の狙い チャイナ監視台 産経新聞台北支局長 矢板明夫

仏研究所が警鐘 中国の沖縄浸透工作 産経新聞パリ支局長 三井美奈

これだけ向上した北朝鮮の攻撃力 軍事・情報戦略研究所長 西村金一

【特集 政権への注文】

正面から尖閣問題に向き合う覚悟示せ 八重山日報編集主幹 仲新城誠

拉致の〝異常〟に慣れきってないか 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)事務局長 横田拓也×家族会事務局次長 飯塚耕一郎

拉致被害者救出 政治が決断せよ 特定失踪者問題調査会代表 荒木和博

米国から聞こえる低調な岸田評を覆せ 麗澤大学特別教授 産経新聞ワシントン駐在客員特派員 古森義久

温暖化防止の本質は国益かけた経済戦争 産経新聞論説委員 長辻象平

「財務省の影」脱し思い切った財政出動を 上武大学教授 田中秀臣

緊急事態宣言は二度と必要ない 医師・元厚生労働省技官 木村盛世

左翼政策「こども庁」実現めざすのか モラロジー道徳教育財団道徳科学研究所教授 麗澤大学大学院客員教授 高橋史朗

再生エネ礼賛で進む中国依存 姫路大学特任教授 平野秀樹

太陽光規制 地方の実情 福島県議会議員 渡辺康平

【特集 政局・秋の陣】

「甘利幹事長」人事のあまりのひどさよ 連載「元老の世相を斬る」 元内閣総理大臣 森喜朗

やっぱり恐ろしい安倍晋三という男 「政界なんだかなあ」 産経新聞政治部編集委員兼論説委員 阿比留瑠比

立憲民主党幹部は共産党綱領読むべし 元衆議院議長 伊吹文明

▼「在日ウイグル人証言録④」帰りたくても帰れない  評論家 三浦小太郎

<証言1>アフラン「脅かされている家族」

<証言2>サダ―(仮名・男性)「早く日本に帰りなさい」

<証言3>イリク(仮名・男性)「息子との

通話は監視付き」

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▼新連載 産経新聞の軌跡

昭和20年代編 第1回 戦後保守とリベラルの源流 評論家 河村直哉