<独自>炭素税、4年度導入は見送り 負担増、産業界が警戒

2050(令和32)年脱炭素化に向けて炭素の排出に価格を付けるカーボンプライシング(CP)をめぐり、政府・与党は13日、4年度税制改正で二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税する「炭素税」などの導入を見送る方針を固めた。負担増を警戒する産業界の声などを受けて所管の経済産業、環境両省でも具体的な方向性が固まっておらず、5年度改正の課題に先送りされることになりそうだ。

CPをめぐっては、環境省が脱炭素社会実現の有力手段として炭素税の議論を進めるよう求めている。国内では平成24年施行の地球温暖化対策税(温対税)で主に企業の化石燃料の利用で排出されるCO2、1トン当たり289円を課税しているが、同1万円を超えることもある欧州などに比べて負担が軽いとの指摘がある。

脱炭素化を政権の金看板に掲げていた菅義偉(すが・よしひで)前首相は昨年末、当時の梶山弘志経産相と小泉進次郎環境相にCPの具体的検討を指示。令和3年度税制改正大綱でも「税制面においても必要な支援をしていく」との考えが盛り込まれ、炭素税や環境規制が緩い国からの輸入品に事実上関税を課す「国境炭素税」といった新税の創設と、温対税増税が課題に挙がっていた。

ただ、これまで〝乾いた雑巾を絞る〟ように省エネ対策に取り組んできた企業に追加で負担を求めれば、国際的な競争力がそがれかねず、産業界は「深刻な影響を及ぼさないようにすべきだ」(経団連)と牽制(けんせい)する。有識者からも、新型コロナウイルス禍や資源価格の高騰で影響を受けた事業の立て直しが遅れるとの指摘があり、政府では制度設計の検討が進んでいない。

英グラスゴーでの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、日本はCO2排出が多い石炭火力発電の廃止に明確な道筋を打ち出さなかったなどとして、取り組みの遅れを批判された。科学技術立国を目指す岸田文雄政権は脱炭素の取り組みを経済成長のエンジンにしたい考えだが、負荷を課すことで排出削減を促すCPをどう活用するのか、首相の判断が問われている。

炭素税 石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を使用する際、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量に応じ税を課す制度。税負担を避けるため企業が燃料の使用を抑えたり、製品に価格転嫁され需要が抑制されたりすることで排出量を減らす。CO2に価格を付けて排出削減を促す「カーボンプライシング」の代表的手法の一つで、1990年にフィンランドが取り入れて以降、欧州などで導入が進んだ。