COP26「延長戦」 前代未聞の野心的な目標、支持されるか

英国で開催中のCOP26で発言するシャルマ議長(手前から3人目)=12日、グラスゴー(AP)
英国で開催中のCOP26で発言するシャルマ議長(手前から3人目)=12日、グラスゴー(AP)

【グラスゴー(英北部)=板東和正】COP26は予定していた会期に閉幕できず、「延長戦」に入った。議長国の英国はCOP26の成果文書で、世界の気温上昇を産業革命前から1・5度以内に抑える目標を強調し、二酸化炭素(CO2)排出量が多い石炭を「歴史の中に葬る」指針を掲げたい考えだ。野心的な取り組みを各国が支持するかが焦点となった。

英国が公表した成果文書の草案で「努力を追求する」と明記された「1・5度目標」は、2015年に採択された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の努力目標だ。同協定は産業革命前と比べた世界の平均気温上昇を2度未満に抑える目標を掲げたが、英国は今回の成果文書で「1・5度目標」を強調することにこだわった。

この目標に固執するのは、世界各地ですでに広がる異常気象のさらなる拡大を抑えるためだ。

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会は8月に発表した報告書で、気温上昇が1・5度に達すると、10年に1度の熱波が発生する頻度が産業革命前の4・1倍になると試算。豪雨と干魃(かんばつ)の発生頻度もそれぞれ1・5倍と2倍になるとした。英外務省のニック・ブリッジ気候変動特別代表は、1・5度以内に抑える重要性は「科学的に明らかになっている」との認識を示す。

ただ、英国が「1・5度目標」実現のため、草案で掲げた石炭火力の「段階的廃止」に各国が同意するかどうかは不透明で、成果文書に盛り込むのは、「前代未聞」(気候変動対策の専門家)で賛否が分かれた。

英国の方針に米国や欧州連合(EU)などが賛同する一方、石炭火力に依存する中国やインドなどは抵抗したとみられている。中東の産油国サウジアラビアの代表者も12日、草案を「実行可能だ」と評価した上で、賛否の表明は避けた。

特に、気候変動対策の資金不足に苦しむ途上国の一部は「1・5度目標」や石炭火力の段階的廃止に反発した。

先進国が約束した2020年までの年間1000億ドル(約11兆4000億円)の支援は未達成。経済協力開発機構(OECD)などによると、19年の実績は800億ドルに満たず、1000億ドルの達成は23年になる見込みという。

さらに、国連環境計画(UNEP)は、30年には途上国が温暖化の悪影響に備えるための資金に1400億~3千億ドルが必要になると試算しており、今後必要とされる支援額は年1000億ドルにとどまらないとみられている。

英メディアなどによると、ある途上国の代表は資金を十分に確保できない中で「途上国が先進国と同じ(石炭火力廃止などの)目標を達成することは難しい」との見方を示した。