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ドラマかアニメか「古見さんは、コミュ症です。」

先月、テレビ欄を見ていて、ちょっと困惑することがあった。毎週見ていたNHKの「古見(こみ)さんは、コミュ症です。」というドラマとまったく同じタイトルが、テレビ大阪の深夜番組欄に載っていたのである。

えっ? どういうこと?

同作は週刊少年サンデーに連載中のオダトモヒトの漫画が原作。コミュニケーション障害のある女子高校生と、同級の男子高校生の、どこか心温まる交流を描いたコメディー。

実は、このドラマ、最初は見逃してしまったが、ある日、偶然に見つけて視聴するうちに、どんどんはまってしまった。主役の古見硝子(しょうこ)を演じるのは池田エライザ。昨年、テレビ大阪で放送された真夜中ドラマ「名建築で昼食を」を見て以来、個人的に注目している女優である。

日本民間放送連盟賞ドラマ部門で優秀賞をとったこちらの作品は、ふとしたことで知り合った田口トモロヲ演じる中年の建築模型士と一緒に、いろいろな名建築をめぐってはランチをするOL役で、不思議な透明感のある演技が魅力的だった。

「古見さん-」では、友人とも筆談でコミュニケーションをとる高校生という難しい役柄だが、まなざしやしぐさで感情を伝える演技を上手にこなしていた。

一方、少し遅れて始まったテレビ大阪のほうは、原作をアニメーション化した番組だった。なるほど、こっちのほうが原作に近いのか、と思いながらしばらく見ていたのだが、次第にどこか物足りなさも感じられるようになった。

当方、幼いころ、長谷川町子原作の漫画「サザエさん」を江利チエミ主演、「いじわるばあさん」を青島幸男主演のドラマ版で見て笑い転げた世代。それゆえ、たとえば柴門(さいもん)ふみ原作の「東京ラブストーリー」だったらアッケラカンとした漫画の赤名(あかな)リカより、鈴木保奈美の演技が光ったドラマの赤名リカのほうにひかれてしまうのだ。

漫画はアニメ化したほうが原作に忠実に作れる。しかし、生身の人間が演じるドラマは、ときとして原作を超えてゆくこともある。(利)