お歳暮商戦 「巣ごもり」「サステナブル」アピール

循環型農業で育った緑茶豚のしゃぶしゃぶ用(高島屋)
循環型農業で育った緑茶豚のしゃぶしゃぶ用(高島屋)

百貨店でお歳暮商戦が本格化している。仕事などでお世話になった人へ贈る儀礼的な色合いは薄れつつあるが、限定の美味や商品を親しい人や自分用に求める「季節イベント」として定着。各店は新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要を狙ったり、「サステナブル(持続可能)」をテーマにしたりした商品を投入し、消費者にアピールしている。

有名シェフ監修

「利用者の高齢化もあり歳暮や中元といった儀礼市場は厳しいが、その時期だけのグルメが楽しめるイベントと考える若い人も増えている。カジュアルなギフトの需要を捉えたい」。高島屋大阪店(大阪市中央区)の担当者はこう語る。

百貨店の最近のお歳暮の売り上げは、大きな伸びを見せていない。高島屋全店は近年、毎年0・1~1・7%の幅で微増。昨年はコロナ禍で店頭販売は苦戦したが、インターネット販売の伸びが下支えし、前年比0・7%減で踏みとどまった。

大丸松坂屋百貨店は今年の売り上げ目標として、前年比1・7%増を掲げている。平均単価は3850円と予測。売れ筋として予想する1位洋菓子、2位ビールは例年と揺るがない。上位商品については、ほかの百貨店も「昔からのリピーター客も多く、根強い需要がある」とみている。

こうした中、各店は新しい需要を開拓しようと工夫を凝らした商品を打ち出している。共通して力を入れるのが、コロナ禍の巣ごもり需要を意識した商品だ。

近鉄百貨店は、台湾の食材や雑貨を扱う店舗「神農生活」のソースの詰め合わせを販売。「海外旅行気分を味わえる本場のおいしさを」と売り込む。

中国料理店のシェフが監修した牡蠣の担々鍋(大丸松坂屋)
中国料理店のシェフが監修した牡蠣の担々鍋(大丸松坂屋)

「自宅で贅沢(ぜいたく)な時間を過ごす」(大丸松坂屋百貨店)ことをコンセプトにしたこだわりの高価格商品も多く、同百貨店は中国料理の有名シェフが監修した2人前の担々鍋(税込1万800円)を販売。料亭「京都吉兆」の鍋セット(同3万7800円)も用意した。

循環型農業で育った肉

環境問題への関心の高まりなどを受け、「サステナブル」をテーマにした商品が目立つのも今年の特徴。阪急百貨店は生産者が阪急うめだ本店(同市北区)で地域創生や環境保全などを掲げて食品を販売するコーナーとコラボし、青森県産地鶏の水炊きセットを手掛ける。

高島屋は、循環型農業で育った緑茶豚のしゃぶしゃぶ用や、フェアトレード(公正な取引)のドリップコーヒー詰め合わせを扱う。

サステナブルをうたう商品が増えたことについて、流通アナリストの中井彰人氏は「環境や地球の将来に配慮した消費行動『エシカル消費』があり、関連商品を選ぶ人は一定以上いる。この層を狙うマーケティングは自然だ」と分析する。

お歳暮商戦は12月初旬にピークを迎える見込み。大丸松坂屋百貨店の担当者は「コロナの緊急事態宣言も明け、お客さんが『お買い物モード』になっている。親しい人に感謝を伝えるギフトや、自分用の購入が増えることが期待できる」と話している。(井上浩平)