漂流する軽石 関東などに接近中か 沖縄では被害広がる

過去には漂着

軽石は、火山のマグマが急に冷やされてできた岩石だ。今回の発生源となった「福徳岡ノ場」は過去に何度も噴火しており、昭和61年には放出された軽石が沖縄や本州の海岸にまで広く漂着した。

しかし今回の噴火は規模が大きく、漂流する軽石の量も多い。農林水産省や国土交通省によると、12日午前までに沖縄、鹿児島両県の計101の漁港や港湾で確認されている。

大量の軽石が流れ込んだ辺士名漁港=10月30日、沖縄県国頭村(川瀬弘至撮影)
大量の軽石が流れ込んだ辺士名漁港=10月30日、沖縄県国頭村(川瀬弘至撮影)
軽石が除去され、青い海に戻った辺士名漁港=11月11日、沖縄県国頭村(川瀬弘至撮影)
軽石が除去され、青い海に戻った辺士名漁港=11月11日、沖縄県国頭村(川瀬弘至撮影)

被害も深刻だ。沖縄県のまとめでは、2日時点で県内の漁船100隻がエンジントラブルを起こし、全体の4割にあたる1206隻が出漁を自粛している。このほかモズクの養殖に支障が出たり、離島への定期便が一時欠航したり、マリンレジャーの中止やキャンセルが相次いだりと影響が広がっている。

沖縄、鹿児島両県では漂着した軽石を重機で除去する作業を進めているが、簡単にはいかない。沖縄県国頭(くにがみ)村の辺土名(へんとな)漁港では、大量の軽石をいったんは除去したものの、港口に設置した防止膜を超えて再び流入し、漁船が出漁できない状況が続いている。

今後に懸念されるのは、軽石の漂流先での海難事故だ。軽石を船が吸い込むと故障の原因となり、沖縄県糸満市の沖合では海上保安庁の巡視艇が航行不能になる事故も起きた。

同庁では船舶などに対し「軽石を発見したら大きく迂回(うかい)して避けるとともに、エンジンなどの点検を万全にしてほしい」と求めている。(川瀬弘至)

軽石】 火山から噴出したマグマが急速に冷えてできた岩石。内部からガスが吹き出て小さな穴が無数に開き、軽くてもろい性質がある。海面を漂う軽石は徐々に砕けて小さくなり、やがて海底に沈む。ただし完全に消滅するまでには1~2年はかかるとみられる。沖縄県が今回の軽石の成分を分析した結果、カドミウムなどの有害物質は国が定める土壌環境の基準値以下だった。