パラカヌー体験会(下)

共生社会を作る大切さ パラカヌーイスト・石原望さん

パラカヌーの魅力について茗渓学園の生徒からインタビューを受ける石原望さん(左)
パラカヌーの魅力について茗渓学園の生徒からインタビューを受ける石原望さん(左)

■茗渓学園中高・茗渓JRC同好会 パラカヌーイスト・石原望さんに聞く

「共生社会を作る大切さ 伝えたい」

ふくのわでは、中・高生がパラスポーツの魅力を広める活動をしています。今回は茗渓学園中学高校(茨城県つくば市)・茗渓JRC同好会が、体験会の指導スタッフとして参加したパラカヌーイストの石原望さん(63)にインタビューし、書き上げた記事を紹介します。

――事故に遭ったときの心情は

石原「仕事の帰り、駅に歩いていたとき、後ろからタクシーに追突された。気づいたら集中治療室にいて、足は動かないと宣告された。仕事よりもマリンスポーツができなくなることがショックだった」

――パラカヌーの楽しさは

「事故後は、友達にも車いすの姿を見せたくないと思っていた。障害者も参加できるカヌーに誘われ、最初は怖かったが漕いでいくうちに楽しくなった。パラカヌーの楽しさは健常者と目線が変わらないので居心地がいいこと」

――カヌーで困難を感じたことは

「はじめは自分には難しいと思った。が、何度か漕いでいるうちに感覚をつかみ、まっすぐに進んだときは気持ち良かった」

――カヌーを始める前と後で世の中を見る変化は

「事故後は、車いすからの目線で世界を見ていた。手が届かないものを取ってくれる人のやさしさなどを感じる一方、周りとの違いを強く意識していた。しかし、カヌーではみんなと一緒の気分になれた。希望も持てたし、知り合った人や得た知識があるので前向きに生きられるようになった。自分を応援してくれた友人に感謝している」

――パラカヌーの魅力をどのような人に広めたいか

「体験会で出会った人、障害者などすべての人に、パラカヌーの魅力を伝えたい。あきらめる前に一歩踏みだせばできること、それを支えてくれる人が必ずいること、皆さんにも希望があることも広めたい」

――パラカヌーやパラスポーツを知らない人に伝えたいこと、それを広めるために私たちができることは

「パラリンピックのように、多くの人が障害者に目を向け『共生』社会をともに作る大切さを伝えたい。そのためには身近に接してほしい。声をかけてもらうと助かる。コミュニケーションを取って助け合えば、みんな笑顔になれる」

――パラスポーツの将来に望むことは

「体験会をどんどん増やして、健常者と障害者が一緒に行うイベントや、身近に接する機会が全国的に広がっていければいい。そうすれば障害の有無に関係なく、みんな仲良しになれる」

茗渓JRC同好会はパラカヌーも体験した
茗渓JRC同好会はパラカヌーも体験した

■インタビューに挑戦 生徒たちの感想

光村あかねさん(高2) 今回のイベントは自分の考えが変わるきっかけとなった。カヌーに乗ると上半身しか見えないし、使わないので、障害者も健常者も変わらないと思った。何より印象的だったのは参加者がみんな、周りの人を受け入れて楽しく活動していたことだ。パラスポーツを通して参加者が一つになれたような気がした。

真崎千渚(ちな)さん(同) 初めてカヌーに乗ったので怖かったが、たくさんの方に声をかけていただき、最後は楽しく漕げた。石原望さんの「みんなが仲良くなれる」というお話を聞いて、今回のインタビューがそのきっかけの一つになる気がするし、そうなることを願っている。

高橋久瑠実さん(同) みんな同じフィールドに立ってカヌーを漕ぐことができた。健常者も障害者も楽しんでいて、とてもうれしかった。

松田美咲さん(中3) 事故に遭われた方にお話を聞く機会はあまりないので、石原さんの経験を聞けたのはとても貴重だった。事故で苦労している方々を助けるために、いろいろなことをやりたいし、周りの理解も深めていきたい。

沼田愛子さん(中2) 石原さんのお話を聞いて、障害がある方の気持ちを知ることができた。今後もこのようなプロジェクトに積極的に参加したい。

飯沼澄麗(すみれ)さん(同) 水の上はとても心地良く、解放感があった。究極のバリアフリーを体験できて、もっとパラスポーツを身近に感じるため積極的に活動したい。

岩増美澪(みれい)さん(同) 乗る前は、転覆したらどうしよう、うまくできるかな、と不安に駆られた。水上に漕ぎ出すと、風を体全体で感じて、すごく心地良かった。石原さんはインタビューの中で、ハワイの大型スーパーマーケットを訪れた際、見知らぬ外国人が高い場所にあった商品を「取りましょうか」と、気さくに話しかけてくれたと語っていた。日本でもそういう助け合いがどんどん増えれば、健常者・障害者の壁を飛び越えたよいコミュニケーションが取れるのにな、と思った。

■ふくのわプロジェクト 衣類寄付でパラ団体支援

家庭などからまだ着られる衣類を寄付してもらい、専門業者に売却した収益金でパラスポーツの競技団体を応援するプロジェクト。寄付された衣類は選別され、世界15カ国以上で販売される。2016年に始まり、これまで約530㌧が集まり、約840万円が競技団体などに寄付された。

活動を通じたSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目指しており、運送の効率化による二酸化炭素排出の抑制や小中高校で環境教育なども展開している。衣類を寄付するのに便利な宅配キット「おうちでふくのわ」(税込み2500円)を販売中。段ボールなどでも送れる。

衣類の寄付は〒300 0726 茨城県稲敷市西代703 ふくのわ係。送料は寄付者でご負担ください。

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(富士紡ホールディングスpresents)