中国牽制へ APEC、日本は米引き込み狙う

アジア太平洋地域で中国が影響力を強める中、日本にとって同地域で米国も参加する枠組みであるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の重要性が増している。国際協調に後ろ向きだったトランプ前政権からバイデン政権に代わったタイミングをとらえ、米国と協調して同地域の通商ルールづくりを主導できるのか、日本の外交力が試されている。

日本は同地域の11カ国が参加する多国間の通商協定である環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を主導し、経済力を背景に強権的な独自の貿易ルールを押し通そうとする中国の封じ込めを狙う。

そもそもは米国のオバマ政権が主導した構想だが、オバマ氏の後を継いだトランプ前大統領が自国に有利な2国間の貿易協定を通じ国内産業の振興を図る路線に転じてTPPを離脱。逆に今年9月に加入申請を行った中国が存在感を高めている。

中国は日本を含む同地域の15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定にも加入。米国が孤立主義に陥る中、アジア太平洋地域の通商ルール作りを主導する構えを見せる。

日本は米国のTPPへの復帰を働きかけるが、支持基盤である労組への配慮からバイデン政権も復帰には慎重だ。一方で、太平洋を囲む21カ国・地域が貿易の自由化などを協議する経済連携の枠組みであるAPECを積極活用する姿勢を示す。

TPP、RCEPに参加していない米国にとって、中国やロシアと同じテーブルで通商問題を議論できるAPECの場は貴重な舞台であるためで、日本は米国を巻き込んで貿易ルールをめぐる議論をリードできるかが大事となる。(那須慎一)