□『文在寅政権最後の暴走』シンシアリー著(扶桑社新書・946円)
来年3月に迫った韓国大統領選を目前に、文在寅(ムン・ジェイン)政権5年間の日韓関係の変化を、米・中・北朝鮮関係も絡ませ鋭利に分析したのが本書です。前任大統領の弾劾の後に、「正しい国」を望む韓国の大衆に、文大統領がどのような形で応え、そして失敗したのか。なかでも象徴的なのは、韓国政府が用意した対日・対米・対中の「三つの策」。しかし、米国は視野が広く、中国は狡猾(こうかつ)で、日本はずっと強い国として文政権の前に立ちふさがりました。
その間、自由民主主義陣営で大いに評価される日本と、「対日策」で惨敗した韓国の「外交力」の差は桁違いに広がっていきました。
一方、文大統領とともに暴走する韓国社会の「自己愛」はとどまるところを知りません。その矛先は、いつものことながら「反日」に向かいます。オリンピックで「君が代」が流れただけでテレビ番組が処罰され、福島の原発事故による放射能が危険ではないことを知っていたにもかかわらず大騒ぎするメディアなど、韓国の蛮行は、著者いわく、ついに「一線」を越えました。そして、「嫌韓が一段とレベルアップする」と明言しています。
次期大統領候補と目されている李在明(イ・ジェミョン)氏は、「日本は事実上の敵性国家」などと反日発言が多いことで知られ、その路線は文大統領の継承です。文政権の最後の暴走を本書とともに考察していただくことで、日本のとるべき「対韓策」が見通せることを願ってやみません。
(扶桑社出版局書籍・ムック第1編集部編集長 山口洋子)