記者発

スポーツマンシップに報いるため 大阪運動部次長・津田大資

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言と蔓延(まんえん)防止等重点措置が全面解除されておよそ1カ月半。日常が戻りつつあり、スポーツイベントへの観客数制限も徐々に緩和されてきた。ただ、アスリートにとっては、感染予防対策の制約から解放されない日々が続いている。

先月17日、王子スタジアム(神戸市)で行われた関西学生アメリカンフットボール1部リーグの試合中、突然審判がゲームを止める一幕があった。風が強く雨がぱらついていたため、雷による中断かと思われたが、あるチームがヘルメットに感染予防用のフェースシールドを装着し忘れていたことが理由だった。

どのスポーツにもいえるが、互いの実力に差がない場合、その時の流れや勢いが勝敗を左右する。試合の途中にフェースシールドを装着するチームも、待たされるチームも条件は同じかもしれない。だが、戦略的なタイムアウトではない中断である限り、その後の試合展開に良くも悪くも影響するだろう。

そもそもアメリカンフットボールは多人数で接触も激しく、声を掛け合うことも重要なスポーツだ。ゆえに、感染予防を踏まえた練習での制約も厳しかったという。それだけに試合後の取材でコロナ禍の影響を聞かれた選手らは、「制約だとは思っていない」「自分たちの練習が甘いだけ」と、決して言い訳にしない姿勢が印象的だった。

7~9月に開催された東京五輪・パラリンピックでも、さまざまな制約を受け入れながら、ひたむきに競技に取り組むアスリートの姿が感動を呼んだ。緊急事態宣言発令中の開催に賛否が渦巻いたとはいえ、改めてスポーツがもたらす価値を実感した人は多いはずだ。

政府は今月1日に大規模イベントに求めていた1万人の上限を解除した。プロ野球やJリーグなどは観客数が大幅に増え、スタジアムに活気が戻り始めている。ただ、これは多くの人が不自由な生活を強いられながらも感染予防を心掛けてきた結果だ。

コロナ禍という苦境の中でも貫くスポーツマンシップに報いるために、そしてベストな状態で行われるスポーツを楽しむためにも、感染拡大の第6波を防ぐ努力を続けなければならない。

【プロフィル】津田大資

平成10年入社。京都総局、神戸総局、大阪社会部、九州総局、産経デジタルを経て、令和3年4月から大阪運動部次長。