武蔵野市長、住民投票条例案を発表 外国人に投票権

外国人と日本人を区別しない住民投票条例の制定を目指す武蔵野市
外国人と日本人を区別しない住民投票条例の制定を目指す武蔵野市

武蔵野市の松下玲子市長は12日の定例記者会見で、外国人と日本人を区別せずに投票権を与える住民投票条例案を19日開会の市議会に提案すると正式発表した。外国人参政権の代替として利用されかねないとの市民の懸念に対しては「論理の飛躍だ。同姓でも離婚する人がこれだけいる中、夫婦別姓制度を実現すると『家族が壊れる』と言っている人に似ている」と揶揄(やゆ)した。

条例案では、市内に3カ月以上住んでいる18歳以上の日本人と定住外国人に投票権を認める。留学生や技能実習生らも含め、日本人と同一条件で投票権を付与する条例は全国3例目とみられ、松下氏は「市民自治の推進が期待できる。市民参加の手法の一つであり、外国籍住民を対象から除くことに合理的な理由は見いだせない」と述べた。

大多数の自治体は、そもそも住民投票での外国人投票権を認めていないか、在留期間などの要件を別に設けている。松下氏の主張に沿えば「不合理」な判断をしていることになるが、この点について「市民自治を推進していない自治体もあるかもしれない。市民参加が半世紀にわたって息づいている町はそうそうない」と胸を張った。

住民投票は「市民側からの発議」(松下氏)で実施されるため、基地など国政に関わる問題が対象になった場合、外国人参政権の代替制度となる可能性が指摘される。条例に反対する市民団体は13日午後2時から、武蔵野芸能劇場(同市中町)で専門家を招いた勉強会の開催を計画するなど、反発の声は広がりつつある。

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