韓国大統領選で外交論戦 最大野党候補が文政権批判

韓国の保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長=11月12日、ソウル外信記者クラブ
韓国の保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長=11月12日、ソウル外信記者クラブ

【ソウル=時吉達也】来年3月の大統領選に向け、与野党候補に選出された2氏の外交政策をめぐる議論が本格化している。保守系の最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長は12日、ソウルで外国メディアとの初会見に臨み、「日本との関係が失われた」と文在寅(ムン・ジェイン)政権の対日外交を批判。大統領に就任すれば日米韓の安保協力を強化すると明言し、日本への警戒を強調する与党「共に民主党」の候補、李在明(イ・ジェミョン)前京畿道(キョンギド)知事と対照的な姿勢を示した。

「刑事事件ばかりやってきたといわれるが、安全保障の問題には常に関心を持ち、読書も続けてきた」。検事出身の尹氏は会見序盤、外交の「素人」と評される点についてこう反論し、質疑に臨んだ。

尹氏は文政権の対日政策について「国と国の利益を調整するための外交ではない。韓国国内の政治(事情)に巻き込み過ぎている」と指摘。反日を政局に利用し国益を損ねていると批判し、「対日関係が存在しているのかというほど、『外交』が消えた状況」だと述べた。一方、いわゆる徴用工訴訟や慰安婦問題などへの具体的な解決策には言及しなかった。

北朝鮮の核ミサイル開発に対しては、発射実験が繰り返される中、米韓に日本を加えた3者が情報共有を深める必要性を強調。「軍事協力が強化されなければならないのは明白な事実だ」と主張した。会見に先立ち10日、与党候補の李氏が日本について「常に信頼できる完全な友好国なのだろうか」と発言し、日米韓の安保協力の強化に懸念を示したことを念頭に、李氏との違いを強調した形だ。

尹氏は文政権が主導する朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言についても、ソウルの国連軍司令部などの無力化につながり「国際社会に間違ったシグナルを与える」と述べ、現時点での「反対」を明言。対北融和路線で「北朝鮮の脅威を放置してきた」点を問題視し、「(北朝鮮が優位に立つ)『主従関係』に転落した南北関係を正常化させる」と意欲を示した。

一方、11日に米国務次官補や駐韓中国大使と会談し外交活動を本格化させた李氏は、12日も米上院議員と面談。「韓国が日本に併合されたのは米国が承認したためだ」などと発言した。

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