主張

関電不起訴 信頼の回復はまだ途上だ

関西電力の金品受領や役員報酬補(ほ)塡(てん)の問題をめぐり、大阪地検特捜部は会社法違反(特別背任)などの罪で告発された旧経営陣ら9人を不起訴とした。告発した市民団体は、これを不服として検察審査会に申し立てる方針だ。

関電は一連の不祥事を受けて役員陣を入れ替え外部から会長を招(しょう)聘(へい)して社外取締役を増やすなどの経営改革を進めている。だが、企業統治の機能不全を放置した経営責任は重い。閉鎖的な社風の打破など、取り組むべき課題はなお山積している。

旧経営陣に対する会社側の損害賠償訴訟も続いている。社会からの信頼回復はまだ途上にあると、厳しく認識する必要がある。そのうえで企業統治の確立など経営改革に全力を挙げてほしい。

旧経営陣らは、福井県高浜町元助役(故人)から多額の金品を受領し、元助役側の建設関連業者に原発関連工事で便宜を図ったとされた。また、東日本大震災後の原発停止などで赤字が発生した際、減額した役員報酬を役員退任後に取締役会に諮らず、ひそかに補塡していた。

これらについて告発を受けた大阪地検は、嫌疑不十分で不起訴にした。すでに元助役は死去し、不正な工事発注をした証拠は確認できなかった。役員報酬の補塡も元役員には退任後も勤務していた実績があり、いずれも違法性は問えなかったという。

しかし、一連の不祥事で関電に対する社会的な信頼は失墜した。元役員らが不起訴となっても元助役と長年、不透明な関係を築いてきた企業の責任は免れない。とくに役員報酬の補塡は、国税当局も所得隠しと認定している。電気料金の値上げで負担を強いた契約者も裏切ったことになる。

不起訴となった森詳介元会長や八木誠前会長、岩根茂樹前社長は大手電力で構成する電気事業連合会の会長を務めた。関電は福島第1原発事故を起こした東京電力に代わり、原発に関して電力業界と政府の窓口役でもあった。その関電に対する国民の不信は、原発不信につながった面もある。

それだけに関電は経営改革を進め、風通しの良い社風を確立する責任があることを忘れてはならない。とくに原発部門の閉鎖性を打ち破ることは、その安全性を確保するためにも待ったなしの経営課題といえる。