「首相の器では…」立民・枝野代表辞任に地元有権者

代表辞任会見を終える立憲民主党・枝野幸男前代表=12日午後、国会内(矢島康弘撮影)
代表辞任会見を終える立憲民主党・枝野幸男前代表=12日午後、国会内(矢島康弘撮影)

「無責任」「当然だ」―。立憲民主党の枝野幸男代表の辞任が党の両院議員総会で了承された12日、枝野氏が地盤とする衆院埼玉5区(さいたま市大宮区、同市北区など)の有権者はさまざまな思いを口にし、新体制に移行する党に望むことなどを語った。(深津響、中村智隆)

「無責任だと思った。あの人が作った政党でしょ」

先の衆院選で枝野氏に投票したという北区の男性(65)は、枝野氏が旧立憲民主党を結党した経緯を踏まえこう不満を漏らした。「枝野さんは首相の器ではなかった」と口惜しさもにじませ、次の代表にふさわしい人物として馬淵澄夫元国土交通相を挙げた。

北区の女性会社員(23)は衆院選で、枝野氏に5区で敗れて比例復活当選した自民党の牧原秀樹元経済産業副大臣に投票した。

「枝野さんが悪いとは思わないけど、いいイメージはなかった。批判ばかりだな、という印象だった」

衆院選で立憲民主党が共産党と共闘したことにも疑問を感じたといい、「批判だけではない政党と手を組むなら前向きに考えることができた」と訴えた。

大宮区の税理士の男性(64)は、枝野氏の代表辞任は「当然だ」と断じ、「二大政党制を目指そうというのに、なぜ共産党と組むのか」。その上で、新体制の立憲民主党に対し「国民のためなら自民党にも『悪くない』と言える、是々非々の政党でなければならない」と注文をつけた。

参院選へ正念場

枝野幸男氏の後任を選ぶ立憲民主党代表選の日程が決まったことで、党埼玉県連関係者の関心は、来年夏の参院選埼玉選挙区(改選数4)での戦いを見据えた党の再建へと移った。同選挙区で改選を迎える立憲民主党の現職はおらず、今後、候補の選定作業が本格化する。党首の交代によって党勢が上向かなければ、参院選での巻き返しには黄信号がともる。

「自公の枠組みに対抗し得る組織を作れていなかった。政権交代には程遠い結果だった」

先月の衆院選の結果について、党県連代表代行を務める熊谷裕人参院議員(埼玉選挙区)はこう語る。

衆院選の県内15選挙区では自民党が12選挙区を制し、立憲民主党は3選挙区にとどまった。平成29年の衆院選で自民党が勝利したのが13選挙区(追加公認含む)だったことを考慮すると、野党がわずかに押し返したともいえるが、複数の選挙区で野党共闘勢力が候補者を一本化した割には戦果は乏しかった。

熊谷氏は「枝野氏が強烈なリーダーシップを持っていながら、こうした結果になった」と指摘し、今後は「党所属議員の一人一人が力を持ち、国民に政権交代を本気で考えてもらえるよう、党の地力を高めなければならない」と強調する。

衆院埼玉12区で自民党候補に競り勝った森田俊和衆院議員は「支援者の一部には、共産党との共闘に拒否感があった」と明かす。ただし、今後の国政選挙でも場合によっては共闘の余地を否定すべきではないとの認識を示し「選挙区の事情や候補者の考えを勘案すべきだ」と述べた。

一方、党県連幹事長の田並尚明県議は、参院選では「社会保障やエネルギー、安全保障について党の政策をアピールして戦い、勝ち残れる組織にしないといけない」と語る。参院選での「党の顔」となる可能性が高い次期代表について、田並氏は「党は変わらなければならない。旧民主党政権で失敗した顔ぶれがトップに就くのはやめてほしい」と持論を述べた。

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