「ガス供給停止」ベラルーシ大統領発言にロシア困惑

ベラルーシのルカシェンコ大統領=9月28日、ミンスク(AP)
ベラルーシのルカシェンコ大統領=9月28日、ミンスク(AP)

【モスクワ=小野田雄一、ニューヨーク=平田雄介】中東などからの不法移民や難民の扱いで、欧州連合(EU)との対立を深めているベラルーシのルカシェンコ大統領がEUへの天然ガス供給を停止する可能性に言及したことについて、ロシアが対応に苦慮している。ロシアにとってベラルーシは友好国だが、欧州もガスの主要な輸出相手として重要であるためだ。

ルカシェンコ氏は11日、EU側が国境封鎖や新たな対ベラルーシ制裁を発動した場合、ロシアの天然ガスをベラルーシ経由で欧州に運ぶパイプラインを停止する可能性に言及。これについて、ロシアのペスコフ大統領報道官は12日、「ロシアとのいかなる合意もなされていない」と述べ、戸惑いをあらわにした。

ロシアはベラルーシ経由で欧州にガスを輸出し、外貨を得てきた。ベラルーシが欧州へのガス供給を停止すればロシアの国家財政にも影響が及ぶのは必至だ。

ベラルーシに入国した移民や難民がEU入域を目指してポーランドの国境に押し寄せている問題をめぐっては、ロシアはベラルーシに理解を示しつつも、二国間の問題だとして深入りしない立場を示してきた。ロシアがベラルーシの「移民の政治武器化」を支援しているとする欧米側の見方についても、ロシアは「無根拠で受け入れられない」と反発している。

一方、国連安全保障理事会は11日、この問題を非公開で協議。米国やフランスなど7カ国は協議後の共同声明で「人間を道具として利用している」とベラルーシを非難した。これに対し、ポリャンスキー露国連次席大使は「誰も移民を送り込んでいない。(欧米側の)問題提起は恥だ」とし、ベラルーシを擁護した。

人権問題をめぐる欧米側との関係悪化を背景にベラルーシは今年、EUとの協定に基づき実施してきた不法移民の摘発を取りやめ、国境を事実上解放。昨年の数十倍となる数千人規模の移民がリトアニアやポーランド国境に押し寄せ、一部が不正越境している。ベラルーシは移民流入による社会の不安定化を危惧するEUに圧力をかけ、発動済みの制裁の解除など譲歩を迫る思惑だとみられている。