岸田外交が重要局面 訪米やクアッド日本開催へ調整

岸田文雄政権は年末から来年にかけ、外交での重要局面を相次ぎ迎える。外相を4年7カ月務めた首相は新型コロナウイルスの感染状況や国内の選挙もにらみながら活発な外交を展開するとみられる。手始めに取り組むのが日米同盟の強化で、12月上旬までに訪米してバイデン米大統領と会談したい考えだ。政府は日米豪印4カ国(クアッド)の首脳会合を早ければ来春にも日本で対面式で開きたい意向で、調整を進める。

首相は今月はじめに訪英し、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席したが、滞在時間は約8時間だった。就任直後から訪米に意欲を示しており、首相としての本格的な外交デビューの舞台は米国となりそうだ。

「一日でも早くまた会ってフミオと話したい」

バイデン氏は英国で首相と言葉を交わした際、こう述べて首相の訪米を歓迎したという。日本側は今月から臨時国会が召集される12月上旬までの間に訪米したい意向を伝達しているが、米議会では大型歳出法案成立のめどが立っていない。外務省幹部は「バイデン政権の命運がかかっている。米側の返事を待つしかない」と語る。

日米両政府は外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の年内開催で合意している。日米間の「役割・任務・能力」に関する検討の方向性を示す見通しだが、年明けにずれ込む可能性がある。来年3月末が期限の在日米軍駐留経費負担に関する特別協定は年内合意に向けて調整を進めている。

クアッドの首脳会合は今年9月、米ワシントンで初めて対面形式で開かれた。2回目が日本で開催されれば、バイデン氏の初来日ともなる。

来年9月には日中国交正常化50年を迎え、習近平国家主席は同年秋の第20回党大会で総書記3期目入りを視野に入れている。習氏の来日は昨年春に予定されていたが、新型コロナの影響で延期されたままだ。米中対立は激しさを増しており、対中外交で難しい判断を迫られそうだ。

来年3月には韓国大統領選も控える。新大統領が、いわゆる徴用工問題で国際法違反の状態を解消する姿勢を見せれば、日韓関係が進展する可能性もある。北朝鮮の拉致問題、ロシアとの間の北方領土問題に関しては膠着(こうちゃく)状態が続いており、局面を打開できるか首相の手腕が問われる。(杉本康士)