主張

APEC首脳会議 台湾の存在感を確立せよ

アジア太平洋経済協力会議(APEC)は、貿易・投資の自由化や地域経済の最終的な統合に向けて、日本や米国、中国など21カ国・地域が連携していく場である。

中国の反対によって国連を含むほとんどの国際的な枠組みから排除されてきた台湾にとっては、世界に向けて意見を表明できる数少ない場でもある。

12日にオンライン形式でAPEC首脳会議が開催される。台湾はこの機会を存分に生かし、新型コロナウイルス禍や気候変動など国際社会が連携して対応すべき諸課題に、台湾がいかに貢献できるかを発信してもらいたい。

そうすることで、「台湾」の呼称使用も、国際機関へのオブザーバー参加も嫌がる中国の異様さが際立つことになるはずだ。

APECにおいても、台湾の行動は中国の圧力で大きく制限されている。台湾は1991年に中国と同時加盟したが、首脳会議に総統が出たことは一度もない。今回の代表は世界的半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)の創業者、張忠謀氏である。

12日の首脳会議がとりわけ注目されるのは、今年9月、中国と台湾が相次いで環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加入申請した直後であるということだ。TPPに参加する11カ国は、すべてAPECのメンバーでもある。

台湾の蔡英文総統は2016年の総統選時にTPP加入を公約とした。加入申請後は、準備は万全だとして日本語のツイッターでも支持を訴えている。日本はこの期待に応えて、台湾の加入を全力で後押しすべきだ。

ちょうど1年前、中国の習近平国家主席がTPP参加を検討する考えを唐突に表明したのも、習氏がオンラインで出席したAPEC首脳会議の場だった。

域内経済の結びつきを志向するAPECは、TPP拡大の議論を深める上でも格好の舞台となるだろう。現在、TPPの議長国を務める日本は、その議論を主導できる立場にある。

日本が発信すべきなのは、高水準の自由化と共通ルールを備えたTPPの原則を貫くという断固たる姿勢だ。TPPには、国有企業に関するルールなど中国が容認しにくい規定があるが、中国に例外を認めるような妥協はあり得ない。このことをAPECメンバーに明確に示すべきだ。