米中、共同宣言で「協調」演出 温度差も

【ワシントン=塩原永久、北京=三塚聖平】米国と中国が気候変動対策の共同宣言をまとめたことについて、「正しい方向への重要な一歩」(グテレス国連事務総長)と歓迎する声が上がった。外交や経済で対立する両国だが、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を舞台に「協調」の演出を優先させた形だ。ただ、中国は一段の対策強化には依然、慎重姿勢をみせており、温度差も否めない。

「これは始まりにすぎない」。ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)は10日、英グラスゴーでの記者会見でこう話した。共同宣言の取りまとめで、中国側が「誠実に交渉に当たった」と持ち上げ、中国政府の対策強化にも期待した。

台湾情勢や人権問題で火花を散らす米中の対立がCOP26にも影を落とす中、ケリー氏は「(米中が)共に会議成功への支持を打ち出した」と指摘、温室効果ガスの2大排出国である米中が足並みをそろえた意義を強調した。中国メディアによると、中国の気候変動問題担当特使である解振華氏も「共同宣言は、中国と米国の協力が唯一の正しい選択だということを再び示した」と成果を誇った。

共同宣言は2020年代が「重要な10年間」だと指摘。バイデン米政権が30年までの対策強化を重視する方針に呼応した格好だ。ただし、焦点となった温室効果ガス排出削減目標や、強力な温室効果ガスの「メタン」対策で、中国に具体的な対策強化を義務づけるような言及は避けており、これにより中国側に受け入れの余地ができたもようだ。

米国など100以上の国・地域は2日にメタンの排出量を30年までに20年比で3割削減することで合意したが、中国は参加を見送った。これは従来の目標や対策の強化につながるものだった。中国は共同宣言で、メタンに関する中国独自の行動計画をつくると表明したが、同合意に参加するかどうかは明言していない。

解氏は、共同宣言は「異なる国情を考慮するという基礎に基づき行動を展開」するものだと強調した。「温暖化は先進国が原因」とする途上国の立場を主張する中国と、米国との隔たりも見え隠れする。