優勝から長年遠ざかる阪神、大胆な「血の入れ替え」を

11月7日のCSファーストステージの巨人戦に敗れ、引きあげる阪神の矢野監督=甲子園球場(村本聡撮影)
11月7日のCSファーストステージの巨人戦に敗れ、引きあげる阪神の矢野監督=甲子園球場(村本聡撮影)

プロ野球阪神はクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージで巨人にあっけなく連敗し、矢野燿大(あきひろ)監督が3年目の指揮を執る今季の戦いを終えた。前半戦は2位に最大7ゲーム差をつけて首位を独走したが、後半戦に入って猛烈に追い上げたヤクルトに逆転され、ファンの期待は霧散した。

阪神が最後にリーグ優勝したのが平成17年。すでに16年の月日が流れている。振り返れば、平成15年の優勝が18年ぶりで、昭和60年の優勝は21年ぶり。いつもファンは歓喜の瞬間を迎えるまで長い間待たされ、一喜一憂させられる。そんな一面も、球界屈指の人気を誇る理由かもしれない。

レギュラーシーズンでは優勝したヤクルトに勝率でわずか5厘及ばなかったものの、143試合を戦って77勝。12球団で最も勝利を重ねたことは紛れもない事実だ。中心選手に20代の選手が多くなり、労組・日本プロ野球選手会発表による今季の日本人選手の平均年俸は2886万円で12球団中11番目。最も高いソフトバンクの6932万円に比べても〝人件費〟が少ないことを考えれば、今季の成績は、世代交代を進めるチームの将来性を感じさせるものだったともいえる。

矢野監督は事あるごとに「自分たちはまだ完成されたチームではない」と強調する。1軍監督に就任する前年には2軍監督を務めており、当時ファームで鍛えた選手が、何人も力をつけて1軍の戦力になった。プロ野球選手になる以前は教師志望だったという指揮官にとっては、教え子とともに成長しながら日本一を目指す現在の仕事は大いにやりがいがあるはずだ。

とはいえ、プロ野球は個々の選手が力をつけていくだけでは栄冠を手にするのは難しい。首脳陣と球団フロントが一体となったチーム強化策を図っていかなければならない。前年最下位から優勝を果たしたヤクルトは、今季の開幕直前に巨人との間で大胆なトレードを断行。レギュラー格の広岡大志(たいし)内野手を交換要員に、実績のある左腕の田口麗斗(かずと)投手を獲得。田口は先発ローテーションの一角を担ったほか、終盤には中継ぎに回って救援陣の層に厚みを加えた。

一方の阪神は近年、主力クラスの選手を放出して交換トレードを行った例はほとんどない。長いシーズンを勝ち抜くためには、大胆な「血の入れ替え」を実行する勇気が必要ではないか。それはもちろん、選手を指導するコーチ陣の人事にもあてはまることだ。(上阪正人)