作家・瀬戸内寂聴さん死去 僧侶としても多彩な活動

作家の瀬戸内寂聴さん=平成30年11月、京都市右京区(永田直也撮影)
作家の瀬戸内寂聴さん=平成30年11月、京都市右京区(永田直也撮影)

女性の業(ごう)を描いた小説で知られる作家で、僧侶として法話を通じた多彩な活動を続けてきた文化勲章受章者の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが9日、京都市内の病院で心不全のため死去した。99歳だった。葬儀は近親者で行う。後日、東京都内でお別れの会を開く予定。

大正11年、徳島市出身。東京女子大在学中に結婚。北京に渡り、敗戦で帰国した。離婚を機に小説を書き始めた。昭和32年に「女子大生・曲愛玲(チュイアイリン)」で新潮社同人雑誌賞。2人の男性の間で揺れる女性の心理を描いた私小説的作品「夏の終り」で38年に女流文学賞を受賞し文学的地位を確立。

娯楽色の強い作品を量産する一方で、作家の岡本かの子を描いた「かの子撩乱」や女性運動家の伊藤野枝に迫った「美は乱調にあり」など因習をはねのけ生きた女性の伝記小説を次々に発表した。

48年に岩手県の中尊寺で得度。法名「寂聴」を名乗り、後に晴美から改名した。京都・嵯峨野の寂庵に暮らし、法話を通じて人々に寄り添った。平成10年に「源氏物語」の現代語訳全10巻を完成させ、平成の源氏ブームを牽引(けんいん)した。18年に文化勲章受章。本紙の正論メンバーだった。

>愛に生きた波乱の人生

>【話の肖像画】瀬戸内寂聴さんインタビュー(1)=2013年