数字から見えるちば

漁業、飲食店や直売所で産業化を

3方を海に囲まれた千葉県は、10年連続で水揚げ量日本一の銚子漁港を有するなど全国屈指の漁業基地となっている。しかしながら、近年は少子化や食生活の変化で水産物消費の減少が続いているうえ、安価な輸入魚介類の流入による魚価の低迷や流通コストなどの上昇もあり、漁業者の所得は伸び悩んでいる。さらに、相次ぐ大型台風の襲来による養殖設備や冷蔵・冷凍施設などの損傷や、コロナ禍による外食自粛も重なり、県内の漁業を取り巻く状況は大変厳しい。

このような厳しい経営環境の下で、漁業者の所得向上を図るには、農業で拡大している「6次産業化」の取り組みが欠かせない。県内における6次産業の市場規模をみると、750億円と全国8位となっている。その内訳をみると、全国トップを誇る農産物直売所数(販売額は4位)など、全体の9割強を農業関連が占めており、漁業分野の取り組みは相対的に遅れている。

足元の県内漁業の6次産業化は、都心からの交通アクセスの良さを背景に、「水産物直売所」と「漁家レストラン」が多いことが特徴。中でも、漁家レストランの年間売上高は8・8億円で宮崎県、沖縄県に次ぐ全国3位となっている。

立地に恵まれている千葉県の漁家レストランの売り上げをさらに伸ばすヒントは全国一位の宮崎県での取り組みが参考になりそうだ。

同県日南市南郷町にある「港の駅 めいつ」は地元漁協が運営するレストランだ。「水産物の販売拠点」から「地域の観光拠点」へと脱皮するため、地元商工会議所と連携して、新たなご当地料理「カツオ炙り重」やお土産の開発を行うとともに、定置網漁業のツアーなどのイベントを企画・開催した。その結果、年間売上高は約3億円と連携前の2倍に増え、年間来客数は38万人に達した。また、地元で漁獲されたアジを鮮度や品質の厳しい選別し「めいつ美々鯵」としてブランド化。これにより平均単価が約3割上昇して漁業者の所得向上につながった。

コロナ収束後には、都内などからの多くの観光客が千葉県内の産地を訪れて飲食をすることが期待される。県内でも、アフターコロナを見据えて、漁業者・漁協と地元商工会・商工会議所、地元市町などが大同連携し、地元産水産物のさらなる「ブランド化」や、道の駅などを巻き込んだ「イベント開催」などに向けて、コロナ禍の「今から」企画し、動き出すことを期待したい。(ちばぎん総研主任研究員 福田宏治)