「5~11歳」に接種拡大の動き 疑問、慎重論も

米ニューヨークの施設で、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける7歳の女児。父親が女児の両手を握っている=4日(ロイター)
米ニューヨークの施設で、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける7歳の女児。父親が女児の両手を握っている=4日(ロイター)

米製薬大手ファイザーが製造した新型コロナウイルスワクチンをめぐり、5~11歳の子供への接種を認める動きが広がりつつある。3日に始まった米国では10日までの1週間で約90万人が1回目の接種を終えた。欧州やアジアの一部などでも検討が進み、イスラエルでは10日に専門家らが接種を推奨した。ただ、重症化の危険性が低いとされる子供への接種を急ぐことへの疑問や、ワクチン不足の途上国などへの供給を優先すべきだとの意見も根強い。

米国がワクチンの接種対象を5~11歳まで広げた背景には、感染力の強いデルタ株が拡大した今夏、入院を要する未成年感染者の割合がそれ以前の約5倍に増加したことがある。今後、新たな変異株が出現する可能性や、対面授業が再開している学校がクラスター(感染者集団)化することへの懸念などもあり、感染症が流行しやすい冬を前に対策を強化した。

5~11歳がファイザー製ワクチンを接種する場合、回数は12歳以上と同様に2回で、量は3分の1。同社が米食品医薬品局(FDA)に提出した臨床データによると、発症を90・7%抑制する効果があり、16~25歳と同等の免疫反応があったという。使用許可の是非を検討したFDAの外部有識者委員会は「ワクチン接種による利益は(副反応による)リスクを上回る」と結論付けた。

同様の判断は各国に広がりつつある。欧州連合(EU)の医薬品規制当局、欧州医薬品庁(EMA)が10月に審査を開始。中東のアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンは今月初め、米国とほぼ同じタイミングで緊急使用を許可した。

またシンガポールのオン・イエクン保健相は8日、国の専門委員会の承認を待って「できるだけ早く進めていく」と言明。既に人口の8割以上がワクチン接種を完了している同国では、子供への接種が進むことで「経済再開をさらに進めることができる」(イエクン氏)との期待も大きい。

一方、懐疑的な意見も根強い。イスラエルでは専門家らでつくる対策委員会が接種を推奨し、月内にも接種が始まる見通し。ただ、委員会の審議の過程で、副反応への懸念などのため反対する親たちから保健省当局者への脅迫が増加。警察は同省の対策責任者に身辺警護をつけたほか、接種の可否を問う10日の委員会の投票は非公開で行われた。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は10月13日、接種対象拡大の動きも念頭に「(世界全体での)接種率向上を優先」することが重要だとして、各国首脳や製薬会社にワクチンの公平な分配を目指す国際的枠組み「COVAX(コバックス)」への一層の協力を呼びかけた。(ワシントン 大内清、シンガポール 森浩、カイロ 佐藤貴生)