衆院選の結果は予想外だった。不明を恥じながら、批評家、小林秀雄の言葉をかみしめている。
「民主主義政治という大芝居には、政治家という役者と国民という見物人が要(い)る。政治家は見物のこわさを知っている名優でなければならず、見物は金を払って来た見巧者(みごうしゃ)でなければならない」
立憲民主党は「見物のこわさ」を甘く見ていた。共産党などと組んで選挙区の候補者を一本化した出し物は、前評判は高かったが、選挙目当ての野合と見透かされた。政権交代をアピールしても、日米安保条約の廃棄、自衛隊解消を綱領に掲げる共産が加わる(「限定的な閣外協力」とするが)のでは二の足を踏む。自民党に対する批判票は立民ではなく日本維新の会に流れた。有権者は見巧者だったのである。