明浄学院事件、控訴断念 元部下との共謀立証難しく

大阪地検が入居する大阪中之島合同庁舎=大阪市福島区
大阪地検が入居する大阪中之島合同庁舎=大阪市福島区

「誰が事件の全体像を描き、主導したのか。裁判官に理解させることができなかったのが、反省点だ」

10月28日の無罪判決後、ある検察幹部は公判をこう振り返った。

学校法人明浄学院の資金21億円の横領に共謀したとして業務上横領罪に問われ、大阪地裁で無罪を言い渡された東証1部上場の不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍前社長(58)について、大阪地検は11日、控訴を断念したことを明らかにした。

判決から控訴期限まで14日。検察当局は、ぎりぎりまで控訴を検討した。ポイントは、プレサンスコーポレーションの山岸忍前社長の元部下が任意段階の取り調べで、前社長との共謀を認めていたことだった。

元部下は、逮捕前に共謀をいったん認め、逮捕後に共謀を否定。さらに地裁が「強引」と認定した検事の取り調べを受け、改めて認める方向に転じていた。

判決はこうした変遷を踏まえ、元部下の証言を「信用できない」とは判断したが、共謀を認めた逮捕前の証言の任意性までもが否定されたわけではなかった。

検察内部では、「証拠のすべてが否定されたわけではない」として、元部下が前社長に示したとされるメモや資料といった客観証拠と、証言の整合性を洗い直して控訴審に臨むべきとの声も上がった。しかし最終的には「元部下の供述という共謀立証の柱が折れており、地裁判決を覆すのは厳しい」との考えに傾き、控訴を断念した。

控訴断念の決定を受け、山岸前社長は「検察庁にようやく真相を理解してもらえたことに、ただほっとしている」とコメントした。