川勝氏「ごめんなさい」自戒も懲りぬ舌禍…既視感

「ごめんなさい」。記者会見で自身の発言を謝罪、撤回した川勝平太静岡県知事=10日午後9時45分ごろ、県庁(岡田浩明撮影)
「ごめんなさい」。記者会見で自身の発言を謝罪、撤回した川勝平太静岡県知事=10日午後9時45分ごろ、県庁(岡田浩明撮影)

「ごめんなさい」「しっかりと自戒しなければいけない」。静岡県の川勝平太知事は10日夜、御殿場市を揶揄(やゆ)したような自身の発言を撤回、謝罪した県庁での記者会見で「大失態」と述べて、政治家・川勝平太としての未熟さを反省してみせた。

会見では「不快に思われ、傷つかれた方がいる。誠に申し訳ない。ごめんなさい」と軽く頭を下げた。謝罪の言葉を述べていなかった9日の会見から一転した理由に関しては「御殿場市長が『公の場で謝罪してほしかった』と言われていたのがショックだった。選挙戦での発言ということで理解を得たと思ったが、私の発言で傷ついている以上、誤解とは言っていられない」と釈明した。

当初は「誤解」としていた真意に関しては、公務と政務の違いを強調した。川勝氏によると、公務の基本姿勢は「差別は一切しない。誰も取り残さない」というものだが、一方の政務、とりわけ特定候補の応援弁士として臨む場合には「(対抗馬を)難詰し、蹴落とさなければならない」と説明。その上で今回の発言が「応援弁士としてではなく(公務の)知事としての発言と受け止められた」と振り返った。

ただ、問題発言は今回が初ではない。令和元年12月には県議会最大会派、自民改革会議を念頭に「やくざ集団、ごろつきがいる」と述べた。翌2年になって「ごめんなさい」と謝罪し、発言を撤回した。

記憶に新しいのは同年10月、政府の日本学術会議新会員候補の任命拒否をめぐる発言だ。菅義偉(すが・よしひで)首相(当時)について「教養レベルが露見した」と言い放ち、9日後に「学歴差別のように受け取られたのは残念。申し訳ない」と撤回、謝罪に追い込まれた。

毎年のように舌禍が飛び出し、既視感さえ漂う。舌鋒(ぜっぽう)鋭く敵対勢力を痛罵する〝川勝節〟は、県民の関心を引き付ける一定の威力はあるが、その手法は舌禍のリスクをはらむ。

実際、川勝氏が今回、弁明した応援演説という政治活動の「政務」の場に限らず、知事としての記者会見など「公務」でも失言している。県のトップの発言の影響力は大きく、その肩書は常について回るもので、政務だから言いたい放題が許されるわけでもない。

舌禍のたびに自省してみせる川勝氏だが、今回もその場しのぎか、それとも、反省時に繰り返し言う「仏の川勝」に今後こそなれるのか-。信頼を取り戻さなければ、先の衆院選で自民党を念頭に豪語した「お灸をすえる」矛先は、自身に向けられることになる。

傷つける意図ないと釈明 静岡知事、コシヒカリ発言