新型コロナウイルス禍で落ち込んだ企業業績の回復が鮮明になってきた。SMBC日興証券が、東京証券取引所1部上場企業のうち10日までに令和3年9月中間連結決算を公表した1038社(金融除く全体の78・0%)を集計したところ、最終利益で6割超の企業が新型コロナ感染症拡大前(元年同期)の実績を上回った。ワクチン接種の拡大などによる海外経済の回復を受けて製造業を中心に業績改善が進んだ。
集計によると、売上高合計は元年同期に比べ4・0%の減少だったが、コスト削減や原材料価格の上昇分の一部の製品価格への転嫁が進んだ効果などで収益性が改善し、営業利益は8・1%増、最終利益は21・6%増となった。
業種別では、主要産業の自動車など輸送用機器の最終利益が元年同期比で21・4%増、2年同期比では約50倍と大幅に拡大した。海外需要の回復に加え、外国為替市場で円安が想定外に進んだことで利益が押し上げられた。省エネやデジタル化需要の高まりを受け、電気機器や機械などの業種でも業績が改善した。
一方、非製造業は、貿易取引の急回復に伴い海運業は大幅に利益を伸ばしたものの、コロナ禍の影響が根強く残る旅行業や需要の回復が見通せない鉄道や航空は苦しい経営状況が続いており、全体を押し下げた。
ただ、同証券の安田光株式ストラテジストは「経済が正常化する来年度に向け非製造業の回復余地は大きい」と分析している。