「100歳迎えると…」 瀬戸内さんゆかりの京都でも悼む声

瀬戸内寂聴さんが法話や講演会を開催していた自坊「寂庵」=11日午後、京都市右京区(渡辺恭晃撮影)
瀬戸内寂聴さんが法話や講演会を開催していた自坊「寂庵」=11日午後、京都市右京区(渡辺恭晃撮影)

9日に99歳で死去した作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん。死去の報に、自坊を構えるなどゆかりの京都でも哀悼の声が相次いだ。

京都・嵯峨野地区の閑静な住宅街にある自坊「寂庵(じゃくあん)」(京都市右京区)。11日午後、訃報を受けて報道陣が詰めかけたが、入り口の門は閉ざされ、弔問者もなくひっそりとした様子だった。

昭和48年に得度した瀬戸内さんは、翌年に寂庵を開き、法話や講演会を開催したほか、文化人を招いて親交を深めてきた。

近くに住む女性(84)は「よく散歩でお会いした。講演会も何回か訪れたが、とてもきさくで優しい、気品のある方だった。100歳を迎えると思っていたので残念」と悼んだ。

70代で現代語訳を完成し、平成の源氏物語ブームの立役者としても知られる瀬戸内さん。源氏物語の専門博物館「宇治市源氏物語ミュージアム」(京都府宇治市)では平成10年11月の開館以来、名誉館長を務め、27年までは原則年1回、講座も開催した。

家塚(いえつか)智子館長は「訃報に実感もなく、今はぽかんとした感じです」と沈鬱な表情をみせた。最初の出会いは22年7月。名誉館長としての講演とシンポジウムに立ち会ったが、常に声に張りがあり、心に染みわたるように語りかけてくるとの印象を持ったという。「会場にいた人は自分だけに話しかけてくれているようにも聞こえるため、引き込まれる方が多かったのでしょう」と振り返った。(秋山紀浩、園田和洋)