iPS免疫細胞で卵巣がん治療 京大が初移植を実施

京都大の金子新教授らの研究チームは11日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した「NK(ナチュラルキラー)細胞」という免疫細胞を卵巣がん患者の患部に移植し治療するがん免疫療法の治験を開始したと発表した。既に9月、国立がん研究センターで最初の移植手術を実施。手術は成功して容体は安定し、患者は退院したという。

治験の対象は、国内で年間約1万人発生している卵巣がん患者の15~20%を占め、抗がん剤が効きにくいとされる卵巣明細胞がんの重症患者6~18人。今年3月、国の審査機関である医薬品医療機器総合機構(PMDA)に実施を届け出て認められた。iPS細胞を使ったがん免疫療法の治験は千葉大などが昨年、別の免疫細胞で実施しており、今回は国内で2番目の取り組みとなる。

計画では、健常者の血液から作ったiPS細胞に、がん細胞を認識し攻撃する能力を強化する遺伝子を導入し、培養して大量に増やす。その後、リンパ球の一種でがん細胞を攻撃する働きを持つNK細胞に変化させ、患者の体重1キロ当たり50万~300万個を最大4回注射で移植し、治療の安全性や有効性を確かめる。初の移植では、50歳代の女性患者に3回投与した。

金子教授は同日の記者会見で「1例目を安全に行うことができてほっとしている。有効性も確認し早く患者に届けたい」と話した。

人の体内では日常的にがん細胞が生じており、NK細胞など多様な免疫細胞の攻撃で排除しているが、免疫機能が弱まると発症につながる。そのため、免疫療法では免疫の力を維持・強化することで治療する。

患者自身からNK細胞を採取して培養・増殖し、体内に戻す治療法もあるが、十分な量を得るには時間も手間もかかる。だがiPS細胞を使えば大量に増殖させることが可能で、多くの患者を十分な量のNK細胞で迅速に治療できる。