福島・請戸小の被災ピアノを展示 双葉町の伝承館

津波被害に遭い原発事故後は放置されていた請戸小のグランドピアノを演奏する請戸小卒業生の横山和佳奈さん=10日、福島県双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館(芹沢伸生撮影)
津波被害に遭い原発事故後は放置されていた請戸小のグランドピアノを演奏する請戸小卒業生の横山和佳奈さん=10日、福島県双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館(芹沢伸生撮影)

東日本大震災の発生から11日で10年8カ月。福島県双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で10日、津波に見舞われた浪江町の請戸小にあったグランドピアノの展示が始まった。同小の卒業生による校歌の演奏も行われ、震災、東京電力福島第1原発事故と複合災害を経験したピアノの音色が、館内に響き渡った。

同伝承館から直線距離で2キロ余りにある請戸小は、先月24日から県内初の震災遺構として被災当時の姿で公開されている。ピアノは2階の音楽室にあり、脚柱の下から10センチまで海水につかった形跡があった。請戸小がある請戸地区では127人が亡くなり、27人が行方不明に。ピアノは、平成12年に請戸地区に住む男性が請戸小に寄贈した。

津波による大きな損傷は免れたピアノだが、原発事故で町全域に避難指示が出た影響で、被災当時のまま長期間放置されていた。町に人が戻った後は修復され、平成30年開校の「なみえ創生小・中学校」で使われていたが、蓄積したダメージで調律が困難になり、他のピアノとの入れ替えが決定。同伝承館が浪江町から借り受けた。

この日、ピアノで校歌を演奏した同伝承館のスタッフ、横山和佳奈さん(23)は同小の卒業生。震災や原発事故を伝える仕事を希望し、大学卒業後、今年4月から同伝承館のスタッフになった。「このピアノは、先生が伴奏に使っていた。授業の思い出が強く残っている」と懐かしそうに振り返った横山さんは「(ピアノの)中がさびていて、津波や原発事故の影響を感じた。でも、いろいろな人のおかげで今も調律すれば弾ける状態。ありがたい」と感謝を口にした。

ピアノは同伝承館の企画展「浪江町の学校と震災」の一環として展示されており、期間は29日まで。横山さんは「請戸小は(津波に襲われ)あんな姿になった。でも、きれいに残ったピアノを見て、請戸小にもたくさん子供がいて、楽しい学校生活があったことを感じてもらえれば」と話している。