【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は9日、米国から中国企業への投資を禁じた大統領令に基づく措置を、来年11月まで1年延長すると決めた。禁止対象の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など50超の組織が「中国の軍事、情報、安全保障機構を直接的に支援している」と認定。トランプ前政権が導入した強硬策を維持する。
対象には華為のほか、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、国有通信大手の中国電信(チャイナテレコム)などが含まれている。
大統領令はトランプ前大統領が昨年11月に署名。安保や経済へ脅威が生じた場合、大統領に幅広い対抗策を認めた「国際緊急経済権限法」に基づき、米市場で投資家から特定中国企業への証券投資を禁じていた。
当初は軍事技術に関わる企業を対象としていたが、バイデン氏が今年6月に大統領令を更新し、監視カメラをはじめとする監視技術関連にも禁止対象を広げていた。
大統領令は、投資家から流入する資金が中国軍の近代化に役立ったり、監視技術を通じて人権侵害に悪用されたりしているとして、米国家安全保障を脅かしていると問題視している。
中国企業への証券投資に関連して、米証券取引委員会(SEC)も中国企業に対する情報開示義務を厳格化した。従わない場合は対象企業の上場廃止も視野に入れ、厳しく対処する方針を示している。