「取引行う様子見て信用」…3千万円超出資の被害者 金商品違反事件

警視庁=東京都千代田区霞が関
警視庁=東京都千代田区霞が関

仮想通貨の価格差売買などを通じて利益を得て、出資者に高い配当が与えられるとする金融関連商品「ジュビリーエース」などをめぐり、警視庁は金融商品取引法違反(無許可営業)などの疑いで、勧誘の中核を担っていた7人の逮捕に踏み切った。「取引を行っている様子を実際に見せられ信用してしまった」。3千万円以上を出資したという関東圏に住む40代の男性は産経新聞の取材に、心境を語った。

男性が知人らから勧誘を受けたのは昨年10月ごろだった。「月利は3~8%」「元手が5倍になる」。誘い文句に最初は疑いの目を向けていた。すると、知人らはパソコンを取り出し男性に画面を見せた。そこには仮想通貨の取引が行われている様子がリアルタイムで映し出されていた。画面上には見ている間にもシステムが自動で利益を出す様子が見られ「本当かもしれないと思った」という。

そして「1万ドルくらいから始めた方が利益が出やすい」との言葉を信じ、最初は現金約100万円を渡して取引を始めた。パソコンの画面には、すぐに利益を出している様子が映し出された。追加出資を決め、総額は膨らんでいった。

当時、画面上で示されていた利益は一日約5万円。「仮想通貨を現金に交換したい」と連絡すると、知人は利益分の現金を手渡ししてくれた。男性は「出金できたので『大丈夫だ』との思いを強くした」と語る。

11月になると「日本での金融ライセンスを取っていなかった」との理由で出金が停止された。男性は不安を覚えたが、代替として別の金融商品が立ち上がったため、出資先を、それに変えて取引を続けた。

その商品も、今年8月に「イギリスの金融機構の監査が入る」として出金が停止。そこで「だまされたのではないか」との思いに至ったが、出資額は3千万円以上に膨らんでいた。

その後、SNS(会員制交流サイト)で同様の被害者を募り、民事訴訟の準備を進めている。ただ、それぞれの商品は「マネーロンダリング(資金洗浄)が疑われる」との理由で領収書や契約書などの発行は受けておらず、「証拠」集めは難航している。

また、知人らを紹介したり、その知人らが利益を出したりすれば、配当を得られる「マルチ商法」的なシステムで出資者を拡大させていたため、勧誘した知人らとトラブルになっていて表立って被害を訴える出資者も少ないという。

男性は「一度始めたら強力な洗脳がかかってしまうようで、まだ出金の再開を信じている人も多い。出資金を返してほしいし、(警視庁に)全容を解明してほしい」と訴えた。