中国に引き離される日本の電子商取引

中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日に合わせて行われる毎年恒例の値引きセールを知らせるアリババ集団の看板=9日、北京(三塚聖平撮影)
中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日に合わせて行われる毎年恒例の値引きセールを知らせるアリババ集団の看板=9日、北京(三塚聖平撮影)

中国最大のインターネット通販セール「独身の日」が活況の一方、日本でのネット通販は盛り上がりに欠ける。昨年の商品販売に占めるネット通販利用率(EC化率)が30%を超える中国に対し、日本は8%で世界平均(18%)も下回る。新型コロナウイルス禍による巣ごもり消費の定着で急拡大する市場を取り込めていない。経済産業省は今年度の補正予算案に企業の電子商取引(EC)支援策を盛り込もうと画策するが、日本特有の事情がEC化を阻害しているようだ。

遅れる日本のEC化

経産省によると、令和2年の日本国内のEC市場規模(物販系)は12兆2333億円で前年比21・7%増と大幅に拡大した一方、EC化率は8・08%でわずか1・32ポイント増と伸び悩んだ。

海外では、中国のEC市場規模が11兆7600億元(約208兆1520億円、20・4%増)、米国が7879億ドル(約89兆4270億円、32・3%増)。日本同様に2桁増で拡大する市場規模に対し、EC化率はEC化率は中国が31・6%(1・9ポイント増)、米国が14・0%(2・7ポイント増)で日本は米中に大きく水をあけられている。

EC化阻害する特有課題

「日本でEC化が進まない要因は大きく3つある」。そう指摘するのはECコンサルティング会社GROOVEの田中謙伍社長。

一つ目の理由は、国土が狭い日本ではスーパーやコンビニが近くにあり、ECよりも利便性が高いことだ。特に「食品、飲料、酒類」のEC化率が3・31%と低迷しているのが顕著で、生鮮食品などは直接手に取って選ぶ需要が高いことや、配送時間や送料がかかることも消費者が敬遠する要因となっている。

二つ目は日本特有の商習慣だ。現状、メーカーが商品を販売する場合、商社や百貨店、チェーン店など販売形態の異なる取引先が複数存在しているため、取引条件や卸売価格の設定が複雑に絡み合う。EC化しようとしても、「取引先との付き合いもあり、社内の販売に携わる複数の課や部の意見統一も図り辛い」(田中氏)という。

三つ目は決済で現金を用いないキャッレス化の遅れだ。ECでの買い物方式はクレジットカードなどを用いたキャッシュレス決済が基本だが、キャッシュレス推進協議会の調べでは日本のキャッシュレス決済比率は24・2%で、1位の韓国(94・7%)、2位の中国(77・3%)を大きく下回る。クレジットカードの不正利用被害が増加傾向にあることなども普及の足かせとなっている。

効果少ない政府支援

「独身の日」に対抗しようと日本では昨年、デジタル庁創設後の10月10、11日の両日を「デジタルの日」に設定。その日にはECサイトを運営する楽天やアマゾンジャパンがセールやイベントを実施したが「大きく盛り上がっていない」(田中氏)のが実態だ。

こうした現状を打破しようと、経産省や中小企業庁などが今年度補正予算案にデジタル化推進の一環としてEC化支援策を盛り込む可能性がある。

これまで経産省などは、ECを導入したい中小企業を対象にIT専門家との連携を後押しする事業などを実施しているが、現状のEC化率といったデータを考慮すれば目立った成果があったとは言い難い。

田中氏は「政府の支援策はネットに出店することで終わっており、その先の戦略を描けていない」と分析。「今後はネット出店者が消費者とアクセスできるポイントを増やすことが重要で、そのためのノウハウを教える人材確保などの支援が求められる」と指摘している。(西村利也)