【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米大統領と中国の習近平国家主席とのオンライン形式による首脳会談が来週にも開催される見通しとなった。ロイター通信やブルームバーグ通信が9日、相次ぎ報じた。台湾海峡で高まる緊張や中国の急速な核兵器配備など両国間には課題が山積するが、バイデン政権としては対話を通じて緊張緩和を図る方針は崩していない。
両首脳の直接対話は9月の電話会談以来となる。報道によれば、具体的な日付はなお調整中という。ホワイトハウスのジャンピエール副報道官は、米中両首脳が年末までに会談することには「原則的な合意がある」と指摘。「両国間の競争を責任をもって管理するための継続的な努力の一環だ」と意義を強調した。
米国が「唯一の競争相手」と位置付ける中国との目下最大の懸案は台湾問題。米国は、人民解放軍が創設100年の2027年までに軍事侵攻の選択肢を習指導部に提示できるよう準備を進めていると分析している。
急速な軍備増強については今月3日に米国防総省が発表した中国の軍事動向年次報告書で、中国が10年後までに1千発の核弾頭を保有する計画だと指摘。従来のミサイル防衛では迎撃が困難とされる極超音速兵器の実用化にも警戒を強める。
そうした緊張下、バイデン政権としてはトップ会談を通じて不測の事態を招かぬよう意思疎通を図ると同時に、ルールに基づく国際秩序の維持のため、人権やサイバー問題、気候変動、通商など個別の課題で中国に改善を迫る考えだ。
オンライン首脳会談の年内開催はサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)が10月に楊潔篪(よう・けつち)共産党政治局員とスイスで協議して合意していた。
習国家主席は新型コロナ対策を名目に外遊を控えているとみられ、ローマでの20カ国地域首脳会議(G20サミット)や英グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)にも現地参加していない。