「防災啓発を表現」 新作オペラ和歌山で14日公演

新作オペラ「稲むらの火の物語-梧陵と海舟」の練習をする子供たち=和歌山市
新作オペラ「稲むらの火の物語-梧陵と海舟」の練習をする子供たち=和歌山市

江戸時代の安政南海地震(1854年)の際、広村(現和歌山県広川町)で稲の束に火をつけ津波の到来を村民に知らせた「稲むらの火」で知られる実業家・浜口梧陵(ごりょう)と、幕末から明治にかけて活躍した政治家・勝海舟の交流を描いた新作オペラが14日、和歌山市の和歌山城ホールで上演される。県内で開催中の「紀の国わかやま文化祭2021」のイベントとして、県内の声楽家らでつくる「和歌山市民オペラ協会」が制作した。担当者は「壮麗なオペラで防災啓発を表現したい」と意欲をみせる。

新作オペラのタイトルは「稲むらの火の物語-梧陵と海舟」。

もともとは大阪市在住のコピーライター、中瀬央彰さんが平成30年の「世界津波の日」(11月5日)に合わせて台本を仕上げていたが、舞台化は実現しなかった。

それを聞いた協会の多田佳世子会長が中瀬さんに協力を求め、セリフをオペラ用に書き換えて今回、公演が決まった。

梧陵と海舟に交流があった史実を踏まえ、梧陵が海舟を金銭面で支援したり、広村で防災用の築堤を優先させるため、海舟からの渡米の誘いを断ったりしたエピソードなどを盛り込んでいる。

演出を担当する岩田達宗・大阪音楽大学客員教授は「梧陵と海舟は防災や国防の面で、日本の子供たちの未来を守ろうとした。そんなメッセージも伝えたい」と話す。

出演者はプロの声楽家が中心だが、協会のワークショップに参加する子供たちも出演する。

本番が近づく中、10月下旬には県立紀伊コスモス支援学校(和歌山市)で練習が行われ、出演者らが、セリフの抑揚や曲のリズムなどについて入念に最終調整していた。

新作オペラでは、旧広村の浜辺で子供たちが手毬(てまり)で遊ぶ光景が描かれる。梧陵の娘役として出演する和歌山大学教育学部付属小学校5年、宮井麗子さんは「穏やかな日常風景が、その後の津波で一瞬にして飲み込まれる対比も表現したい」と意気込む。

多田会長は「郷里の偉人・梧陵の交流の広さと防災面での功績を、オペラという芸術形式で広く知ってもらいたい」と話している。

新作オペラは午後2時開演(1時半開場)。指定席5千円、自由席4千円(当日は各席500円増)。問い合わせは和歌山市民オペラ協会事務局(073・446・0101)。