首相会見詳報

(2)「賃上げ企業は控除率を大胆に引き上げ」

記者からの質問を受け付ける岸田文雄首相=10日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
記者からの質問を受け付ける岸田文雄首相=10日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

=(1)から続く

「続いて経済政策だ。新しい資本主義の起動に向けた議論を本格的に動かし始めた。新しい資本主義実現会議で取りまとめた緊急提言の内容を経済対策にもしっかりと盛り込む。成長のための投資と改革を大胆に進め、その成長の果実を国民の皆さん一人一人に実感していただきたいと思う。そのための新しい分配の仕組みを作り、動かしていく」

「まずは経済を成長させる。科学技術立国を目指し、10兆円の大学ファンドの年度内の創設と新たな大学のガバナンス構築のための法改正。ワクチン、そして治療薬の国内開発生産支援。クリーンエネルギーへの投資に取り組んでいく。経済安全保障も重要な成長戦略の柱だ。人工知能、量子などの分野で研究開発を複数年度にわたって支援する基金を設け、先端的な重要技術を育成していく。サプライチェーンの強靱化や基幹インフラの信頼性確保を進める法案の準備を加速する」

「成長戦略の中で特に私が力を入れているのがデジタル田園都市国家構想だ。デジタルの力を取り込み、地方から新しい時代の成長を生み出す。この具体化に向け、デジタルを活用した地域活性化への交付金を大規模に展開いたします。さらにデジタルインフラに対する投資を進めていく」

「デジタルを活用する際に、障害となる規制改革にも果敢に取り組む。次期通常国会に、自動運転による自動配送サービスを可能とするための法案を提出する。明日以降設置するデジタル田園都市国家構想実現会議およびデジタル臨時行政調査会において議論を行い、年末以降、具体策を示していく」

「そして成長の果実を分配していく。官民挙げ、国民一人一人の給与を引き上げるための具体的アクションを起こす。まず民間部門による分配の強化に取り組んでいく。給料を引き上げた企業を支援する賃上げ税制について、控除率の大胆な引き上げなど制度を抜本的に強化し、賃上げを後押しする。月内に行う次回の新しい資本主義実現会議で、来年の春闘に向け賃上げの議論をスタートさせる。私が労使の代表と向き合い賃上げを促していく」

「企業の成長と給料の引き上げを両立する鍵は人であり、人への投資だ。働き手がデジタルなどの新しい時代のスキルを身につけられるよう、人への投資を抜本的に強化するための3年間の施策パッケージを設ける。予算を大胆に投入し、職業訓練や能力開発、正社員化や処遇改善への支援を拡充する。女性や高齢者が活躍しやすい職場環境作りを進めていく」

「同時に公的部門での分配を強化する。民間における賃上げに先んじて、看護、介護、保育、幼稚園などの現場で働いている方々の給料を増やしていく。公的価格評価検討委員会において検討を進めるとともに、まずは経済対策において先立って、必要な措置を行い、前倒しで引き上げを実現していく。また教育、住居費負担の軽減など子供子育て支援策を強化する。皆で支え合う、持続可能で安心できる社会保障の構築に向け、全世代型社会保障構築会議の議論を進めていく」

「次に外交安全保障だ。私の対面外交は先週、英国でのバイデン米大統領との懇談から始まった。バイデン氏とは早期に再会し、じっくり話そうということを確認した。年内を含め、できるだけ早く米国を訪問し、日米同盟のさらなる強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け連携していく。今後も首脳同士の往来に加え、国際会議の機会や電話会談も活用し積極的な首脳外交を展開していく」

「ASEAN(東南アジア諸国連合)や欧州の首脳との電話会談など、普遍的価値を共有するパートナーとの関係強化に取り組んでいく。中国やロシアとの関係では、主張すべきは主張し、毅然とした外交を進めていく」

「拉致問題は最重要課題であり、すべての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃さず、全力で取り組む。私自身、条件を付けずに、(北朝鮮の朝鮮労働党総書記の)金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接、向き合う覚悟だ。私が指示した国家安全保障戦略などの改定は、国家安全保障会議で徹底的に議論を行っていく。ミサイル防衛能力、AIなどの最先端技術、宇宙、サイバーなどの新たな課題にスピード感をもって対応し、防衛力の強化に取り組んでいく」

=(3)に続く